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第84話 最終日とその後 ジン×カナタ

この歌は、歌うだけでも切なくて、感情のコントロールが難しい。  リハーサルでも泣きそうで、でも泣くのが嫌で無理矢理笑っていた。初日も大丈夫だった。ほっとして、最終日に臨む。  カナタはストレッチをしながらダンスチームに備える。レイが不安なのかずっとそばにいて、笑わしてくるのに助けられて、スタンバイをする。  花道の下から屈みながら進み、センターステージの下にダンスチームが静かに息を潜める。長身のメンバーも多いこのチームはこの態勢がきつそうで少し笑うと、ニカっとルイが笑う。  (楽しもうね!)  ルイがそう言うと、うん、と笑顔で頷いた。楓が手を伸ばしてきてそれに全員が手を重ねた。  (行きましょう!!)  スタッフの合図と共に、楓も合図した。立ち位置について、一気にライトと歓声を浴びる。ここからはひと呼吸も余裕のないステージ。全員が仲間を信じて、今まで以上のものを出し切る時。  (このメンバーとも最後)  そう思うと出し惜しみは不要だと、全力で歌う。後ろから楽しそうに、イイねぇ!と聞こえたのは楓だった。その声にさらにテンションもあがり、引っ張られたのかレイは丁寧に歌う、から感情も乗せてきて、こっちまで上がった。  (楽しい!!)  78は盛り上げるのに慣れているのか、会場がのノリもよく、表情がカメラに抜かれると歓声があがる。78はお客さんが目の前にいて、初めて輝くチームなのかもしれないと思った。CDよりもライブ映像がロングセラーになり、動画の再生数も事務所で1番多いのはそこかと、楓やルイを見ていると分かった。ルイはステージが居場所なんじゃないかと思うほど輝き、ファンサービスも多く、1番会場を沸かせていた。 ダンスパートになると、翔がセンターということに昨日に引き続きどよめきがおこった。やはり、78のファンからすると、驚きの配置なのだろう。しかし、翔の表現力に会場が沸いた。  (レイ、いくよっ!)  (はい!)  ダンスパートが終われば歌もクライマックス。最後の最後までボルテージを上げてやると、声量を惜しみなく出し、レイは合わせるように同じ量で答えてくれた。  バッと暗転して、すぐにマイクのスイッチを切り、急いで捌ける。荒い呼吸のまま移動し、裏につくと全員で抱き合った。  「「お疲れ様でしたー!!」」  労っていると、リクが笑顔でやってきて、一人一人にハグしてくれた。  「お前らマジかっこよかったー!!最高のショーだよ!!」  「「ありがとうございます!!」」  「翔、アウェーの中よくやった!」  「あんなにアウェーだとは!あははっ!楓さんのファンの子たち怖かったぁ!」  翔が楓を見ると苦笑いして、翔にハグしていた。 「大地!お前マジイイよ!ダンス続けろよ?」  「うぅー!ありがとうございますー!」  「うわっ!汗だく!」  リクはハグする青木をあしらっていた。  「レイ、お前に任せてよかった!最高だ!」  「リクさーん!ありがとうございます!」  レイはテンションが上がったままでニカッと笑って、カナタを後ろからハグした。  「カナタの本気すげーな!篤も唖然としてたぞ?うちに入る?」  「いやいや!一曲で精一杯です!78の2人に盛り上げてもらいました!78はお客さんと一体になるのがいいですね!」  素直な感想を言うと、リク、楓、ルイがきょとんとした後、ニヤァと笑った。  「「「だろ!?(でしょ!?)」」」  同じリアクションに爆笑して、ハイタッチして解散した。ステージ裏のモニターを見ていると、隣に楓が来た。  「楓、お疲れ様。今回のコンサートは大忙しだったね」  「疲れましたよ…リクさんえげつねぇ…。でも、リクさんが俺に期待し始めてくれたのかな、って少し嬉しいんです」  「???1番期待してるって言ってたよ?」  レイを励ますかどうか、リクと話し合っているときに、リクが漏らした言葉を伝えると、目を見開いてこちらを見た。  「マジっすか!?」  「え、あ、うん。アメリカ行ったんでしょ?その時に、やっぱ楓はセンスあるから磨かなきゃって。78のセンターが楓で良かったって。」  すると急に座り込んで頭を抱えた。  「楓?」 「やば…嬉しすぎて力抜けた…」  「え!?タイミング間違えた?がんばろ?ほら、立って!」 「カナタさーん、どうしよ、泣きそう」  「なにそれ、めっちゃ笑ってるじゃん!」  楓はニヤニヤしながら立ってモニターを見た。サナがかっこよく歌ってるのを優しい顔で見ている。  「?バンドも好きなの?」  「いや、別に。タカさん見たいなって…やっぱあの人は別格、かっこよすぎですよね。ユウも別人っすね、こいつの多重人格どうにかならないんすかね。ちなみに俺マコの顔タイプなんですよねー…。カナタさん、ジンさんなんかエロくないですか?やっばー…」  「サナは?」  「え?」  「サナの感想は?」  わざわざサナを抜かしたことが不思議で問いかけると、楓はふわっと笑った。 「本人に直接言いますわ」  「直接?」  「仲良いんすよ、俺ら」  「へー。意外!サナ苦手そうなのに」 「あいつ面白いんですよね。真っ直ぐで、不器用で。からかいがいがあります」  サナが終わると同時に楽屋に戻った楓を見て、カナタはもしかして、とにやけた。 しばらくモニターでバンドを見ていると、タカがマイクを抜いて、優一に近づいた。  (うわ!まさか!)  『キャーー!!!』  思わず頭を抑えると、いつの間に隣にいたのか、岡田があいつ…とため息を吐いた。優一もタカに煽られ、また挑発し、二度もキスしていた。岡田は伊藤を連れて、ステージ袖に向かっていった。  あのキスを見て、なんだかモヤモヤして楽屋に戻った。シュウトがいるはずだが、見当たらず1人で大人しく待った。  「お疲れさまー!」  「全く!あいつらは…」  入ってきたのはジンと岡田だけだった。ジンは苦笑いして着替えはじめた。  「もー!タカを止める方法誰か知らねぇの?タカはユウ見たら盛った犬じゃん。全く…」  「あれはタカが優一くん煽ってたよね。でも、パフォーマンスと思えばいいんじゃないかな?あんなのタカしたことないから話題になるかも」  「話題の内容が怖いよ。…しかも、ジンも見たろ?あの顔何!?どこのAV男優だよ!マジ冷静になって戻ってこねーと承知しねぇ」  「あははっ!たしかに!でも、タカよりも優一くんが大丈夫かなぁ?」 次の出番までゆっくり雑談していると、勢いよく入ってきたのはタカと優一。思わず目を逸らしたくなるほどの表情に固まる。  優一がとろんとした顔でジンに話しかけるのに少し胸が痛んだ。  (あ…これが、嫉妬なんだろうな…)  何も言えず、見ているだけだったが、ジンが優一の頭を撫でた時の声に驚いた。ジンも慌ててタカに預け、ジンが勢いよくカナタの隣に座った。  少し動揺しているのも嫌で、あんなに可愛いかったらなぁ…と優一をぼんやり見つめていると、伊藤が回収していった。優一がいなくなるとタカは倒れるように眠りはじめた。 ドクンドクン… 「ふぅっ…」  ダンスチームではあまり緊張しなかったのに、ブルーウェーブになると緊張してきた。タカに本気を出すと言われたのもあるが、あの新曲を冷静な気持ちで歌えるかが不安だった。  (なんかもう…泣きそう)  上を向いて、深くゆっくりと呼吸する。 「カナタ、想いのままやればいいから」 「うん」  「行こう」  「うん!」 一面ブルーになったステージにゆっくりと歩き出した。 タカの本気は物凄くて、圧倒されないように必死に冷静を装う。タカのファンサービスで会場が盛り上がる中、ファンのボードに驚いた。  『コンサートで出会って結婚しました。』  カナタより少し年上そうな夫婦。カナタが見たことに気付くと激しくボードをアピールしてきた。近づいていくと、奥さんが涙して、旦那さんが頭を撫でた。腕や持ち物には、昔からブルーウェーブを応援してくれてることが分かるグッズたち。  「おめでとうございます!」  マイクを離して、自分の声で届けると、旦那さんまで涙した。幸せそうに泣きながら笑う2人が、こんなコンサートで出会えたなら、やっている意味があったんだと思うと目が潤んだ。 (あ、どうしよう…)  ツンと痛みはじめた鼻に慌てて笑顔を作って手を振って、メインステージに立つ。 次の曲は1番緊張しているもの。出だしはカナタのソロで、すっと息を吸って歌うも、泣きそうになって喉が締まる。メンバーの全員がこちらを見て、ふわっと笑った。 この歌を歌えば、あの時のことを思い出す。一歩踏み出すために、悩んで、考えて、待って、この人しかいない、ジンだけがほしいと強く願った日々。泣いて、ぶつかって、やっとたどり着いた安心する居場所。思い出せばどんどん歪んでいく視界。  (もう少しだから、耐えて)  こぼれないで、と願うも最後のタカとの気持ちのいいハモリで、流れていった。カメラに抜かれていたのか、大きな歓声が恥ずかしい。袖に捌ければ我慢していた分、涙が止まらなくなってジンと手を繋いで会場内を歩いた。  「落ち着いた?」  「うん、ありがとう」  非常口から外に出て階段に腰掛ける。エンディングがあるため、トリのAltairが終わる頃にはスタンバイが必要だが今はこうしてゆっくりしたかった。  「ジンさん…好きだよ」  「え?…ふふっ、ありがとう」  星空を見ながら、伝えたい言葉が音になった。ジンは嬉しそうに笑って、肩を抱き、距離を詰めた。触れるところが嬉しくてドキドキして、肩に頭をもたれさせた。  「ファンの方がね、結婚しましたって」  「あぁ!見たみた!握手会も来てたよね」  「え?そうだっけ?」  「旦那さんの方。女性の中に恥ずかしそうに並んでたの覚えてる。」  握手会なんてデビューした年にしかやってないが、その時からの応援だと知ってもっと嬉しくなった。カナタはジンの指をからめとって、握ったりなぞったりしてソワソワする気持ちを抑えた。  「ふふっ、カナタ知ってた?いつもライブの後、僕のそばにベターってくっついて、こうして手で遊ぶの。」  「え?!毎回?」  「そうだよ。打ち上げでもずっと隣に来てこうして甘えるのが可愛くて嬉しかったな。だって僕にしかしないんだよ?嬉しくないわけないよ」 ニコッと笑ったかと思ったら、唇に温かい感触。  「でも、我慢する身にもなってよ?」  「っ!」  「僕だって、抑えるの必死だからね」  妖艶に笑う顔に真っ赤になって、腰が重くなる。カナタはジンのこの顔を見るとすぐにエッチな気分になってしまう。 「カナタ、ダメだよ。お仕事中でしょ」  「でも、ジンさんが…」  「あはは、ごめん。意地悪したね。でも仕事は仕事!行くよ!」  「あ、待って…、その…今は…」  「あら、反応しちゃったの?」  「っ!〜〜っ、」  「ちょっと!泣かなくていいから!ごめんね、恥ずかしがらないでいいよ。ね、落ち着いたら行こう」  衣装を押し上げて苦しくなったものを隠して蹲った。ジンは苦笑いしたあと、何故かダイアモンドの歌をご機嫌に歌い出した。  「ぷぷっ!!ジンさん、なんでこの曲?」  「え?可愛くない?この歌好き」  「ジンさんアイドル好きだっけ?」  「ダイアモンドが好きなのー」  意外な好みに笑って、いつの間にか落ち着いていた。ジンに行く?と言われ、頷いて立ち上がった。非常口から中に入った瞬間、岡田に急げと怒られてステージまでダッシュした。  打ち上げは貸切のラウンジ。カウンターやテーブル席がいくつかある。カナタも少しだけお酒を飲みながら事務所のメンバーと話をしていた。 「へぇ、RINGというグループなんですね」  「はい!Altairにはまだまだ追いつかないですが、頑張っています」  「そうなの?あなたほどの人がいればファンも多そうです」  「いや、俺RINGで1番人気がないんです。女の子には嫌われるタイプみたいです。」  「そう。じゃあ男性ファンが多いのかな?」  打ち上げでカウンターに座ると、このマスターの目が気になった。優一にしか話をふらないし、他と優一が話していても割り込んで話してくる。  (このマスター、優一くん狙ってない?)  カナタは翔の話やサナの話を聞きながら様子を見ていた。すると、優一のコースターだけを取り替えた。マスターが酒をつくりにいった隙を見て、自分のと変えてみると、裏に電話番号が。  (タカに言わなきゃ!)  ジンとタカと長谷川がいるテーブルにコースターを持っていくと、タカが優一を連れて帰ってくれてほっとした。  (本当に男性にモテるな、優一くんは) 安心すると一気に疲れが襲ってきた。岡田がすぐに声をかけてきてくれた。 「カナタ、大丈夫か?」  「疲れた…」  思いの外疲れて、先に送迎車で寝かせてもらうことにした。岡田と一緒に車に行くと、後部座席に岡田も乗ってきて不思議に思う。  「岡田さん?いいよ?会場戻ってて」  「カナタ、本当に感動した。お疲れさま」  ぎゅっと抱きしめられて温かさに落ち着いて意識が遠のいた。  車の揺れる感じがして目を開けると、隣からジンの寝息が聞こえた。  「起きたか?良かった。もうすぐ着くから」  岡田がバックミラーごしに話しかけてきて返事をした。ジンは送迎車ではめったに寝ないが気持ち良さそうに寝ていた。  「会場戻ったらもう寝そうだったから連れてきた。車に乗る直前で寝落ちしたから焦ったよ。珍しいよな。」  笑いながら言う岡田につられて笑って、ジンの髪を撫でた。  「シュウトは?」  「サクラさんが迎えにきてた。来月、シュウトの結婚を発表する。」  「え?社長のOKでたの?!」  「あぁ。シュウトが見違えるほど落ち着いたし、責任感が出てきたからって。打ち上げ前に、サクラさんとシュウトとモモちゃんと俺で社長と面談した。」  「良かったぁ…」  「しかもさ、サクラさんせっかく仕事決まったのに、妊娠したってさ。」  「わぁ!おめでとう!!」  「いいよな、結婚。俺も結婚したいな」  岡田の言葉に嬉しくなって、結婚式に歌うよ、というと岡田も嬉しそうに笑ってくれた。 「おっも!カナタ、そっち持って」  完全に熟睡して起きないジンを2人で運ぶ。あの時みたいで少しモヤモヤした。  (「ジンは私のものだ」)  「カナタ!」  「えっ?…なに?」  「鍵!早く!重い」  いつの間にか部屋の前まで来ていて慌てて鍵を開けた。寝室にジンを寝かせて、岡田に水を渡すとがぶ飲みした後、事務所に戻って行った。  風呂から上がってもジンは爆睡していた。その寝顔が幼く見えて、思わず笑った。少し開いた唇にそっと口付けると、止まらなくなった。ジンに馬乗りになって、夢中でキスをする。眠いのか、眉間にシワが寄るのも無視して、腕も抑えてジンの足に自分のを服の上から擦り付ける。  「んっ、んぅっ、っ、」  (どうしよ、止まらない)  必死に擦り付けて、動かない舌を絡める。  (気持ちいいっ、こんなの、ダメなのに、1人で気持ち良くなっちゃうなんて)  じわっと濡れるのがわかって、いよいよ絶頂まで目指して腰を強めに振ると、突然後頭部を押さえられ、舌が激しく絡みつく。  「っ!?」  ジンの両足が腰に絡み、ホールドされるとグルンと体勢が入れ替わった。  「1人でイくの?」  「はっ、はっ、ジン…さん」  久しぶりのこの目にゾクゾクする。先ほどまで爆睡していた人物とは別人。服を脱がされ、元気な熱が勢いよく飛び出して恥ずかして手で隠すも、払い除けられて真っ赤になる。  「もう出そう。ほら、見て?お汁がこんなに」  「いやだよ、ジンさん言わないで」  「僕の足に擦り付けて気持ち良くなっちゃったんだよね?こうしてやってあげたの?」  「アァッ!!アァアア!!」  ガクガクと腰が浮いて、なにも考えられなくなる。  「触って!ジンさん!触って!」  「どうせなら一緒にイこうよ」  「ジンさんイかないじゃん!待てないよ!も、ね、お願い!触って?」  ジンは優しく笑って、爆発しそうな熱を通り越して、胸に噛み付いた。  「んぅ!ん、ここじゃ、ない!ジンさんっ!触ってよぉ!」  求めるのを無視して、左の粒にしゃぶりつくジンの髪を握る。  「あンッ!?」 (あ…何、これ…ヘン)  ジュッと吸われると腰にジュンっと熱が籠る。驚いたままのカナタを、ジンはニヤリと笑って、さらに攻め立てられる。  「ァア!ヘン!ジンさん、へん!」  「大丈夫…集中して」  「っんぅ!!っぁああ!やだぁ!」  「はいはい。こっちね?」  泣き始めると、困ったように笑って熱をやっと触ってもらえた。ホッとして腰を激しく振って、絶頂へ向かう。  「あっ!あっ!あっ、んぅ!ーッ!」 (はっ、ぁ、あと少し、もうイくッ)  ググっ背中を逸らして目を閉じた瞬間。  ガリッ!!  「ッァアァアーーーーッ!!!」  ビクビクと跳ねる腰と、ジンジンと痛む左胸。今度は労わるように優しく舐められてたまらない。  「気持ちぃ…っはぁ、気持ちよかったぁ」  「ン…もっと気持ちよくしてあげる」 力抜いて、と言われ、そっと指が入る。  (アッ!ヤバイ!ジンさんの…指が入ってる…)  ゾクゾクして、はぁっと吐息を漏らす。 「はぁ…カナタ…可愛い…早く、僕を入れて?」  「ンッ!んぅ!」  「カナタの中で、抱きしめて」  「はぁっ!ぁああっ!あっ!」  「カナタ…早くっ、僕を、満たして」  「あっ!ごめ、っ、イくぅっ!ッァアァア!」  ジンの言葉に急激に高められ、予期せぬまま絶頂を迎えて震える。早くジンを迎えたいのに、自分ばかりが高まってるのが嫌で涙が溢れる。  「泣かないで…つらい?」  「俺、ばっかり…ごめんね、勝手に、イっちゃう」  「なーに可愛いこと言ってんの。僕がイかせてるの。勝手に、じゃないよ。カナタは僕にコントロールされてるの。」  「コントロール…?」  「カナタのイイところなんか手にとるように分かるよ。中だと、ココ」  「ァアん!!」  「そして、左胸と、ここの先端でしょ」  「はぁん!っぁ、あっ、ぁっ、」  すぐに力が抜けて、目の前がぼやける。本当にコントロールされているみたいで、ジンに全てを委ねてしまう。  「好きにして…ジンさんの好きなように」  「ッ!?」  「ジンさん…っ、2人でおかしくなろ?」  「ッ!!」  グググッ!!  「ッァアァアーー!!アッ!おっき、おっきい!待ってぇ!待って!」  「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」  大きな質量が入ってきて首を振って圧迫感に耐えるも、容赦なく奥に入ってくる。 「ンっ!苦しっ!ジンさんッ!!ッァアァア!ダメダメそこぉ!!」  ジンの大きな質量がイイところだけを抉って耐えられない快感が絶頂につれていく。 ぎゅっと締め付けて、たしかにイったはずなのに、射精してなくて不思議に思う。震える身体でぼんやり見ていると、腰を引かれたあとの衝撃に目の前に星が飛んだ。  「ーーッ!!!」  「はぁ!はぁ!カナタ!愛してる!愛してるよ」  「ッァアァアーー!!」 耳元で声が聞こえたと思ったら、身体がいうことを聞かず、まさにコントロールされていた。なす術なく、必死にしがみついて、大きな声が止まらない。何度も高められて訳がわからない。強すぎる衝撃に泣き叫んでも、気持ちいいに変換され、快感に落ちていく。  (気持ちいい…やめられない…)  「ジンさんっ!おかしくなっちゃうよぉ!」 「一緒に、おかしくなろ!もう、コントロールできない…カナタが好きなんだ!好き!好きだよ!お願い、ついてきて…カナタが足りないっ!僕を満たして…」  目を少し開けると、必死で、泣きそうなジンがいて唇に噛み付いた。  「っぷはっ、はっ、ジンさんの、好きにしていいから…っ、俺が、受け止めるからっ」  「カナタッ!」  「あっ!?ッァアァアーー!!ァアァア!」 コーヒーの香りがして目を覚ますと、ベッドに横になっていた。ぐちゃぐちゃになったシーツが床に落ちていて、タオルケットがカナタにかけられていた。  「ジンさん…」  呼んだつもりだが全く声がでない。動く気にもなれないが、ジンを呼びたくてケータイでメッセージを送った。  カナタ:ジンさん、起きた  それだけ送ると、リビングの方でピロリンと鳴り、足音が近づいてきた。  「おはよう、カナタ。」  (おはよう)  「あはは…声枯れちゃったね…ごめんね」  (ううん。)  笑って返すと、ぎゅっと抱きしめられた。昨日の熱を思い出して、高まるのを抑えきれずに見つめる。  「シたくなっちゃった?」  (うん)  「カナタも完全に僕にハマったね?嬉しい!」  ジンがいるだけでドキドキして、触りたくて仕方がない。自分からキスして、舌を出す。  (キスして)  口の動きだけで分かってくれたのか、優しく絡めてくれた。  「カナタ、これからがつらいかもだけど、頑張ろうね?」 (?)  「たぶん、僕みたら、抱かれたくなるはずだから」  (!?)  「コントロール、されてるから。カナタのせいじゃないよ?僕のせいだから、恥ずかしいことじゃない。仕方ないことなんだ」  (仕方ないのか…)  素直に納得すると、頬にキスされて、朝から元気なねつを口で気持ちよくしてもらった。声にならない声で叫んで朝から濃厚な快感を味わってぼーっとする。  「カナタ、おいで、ご飯にしよ」  (やだ、そばにいて)  「あはは。仕方ないなぁ」  お互いがお互いにコントロールされている。それも悪くないよね、とまたジンを中に迎えた。 

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