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第110話 お薬
(響も休んでほしいな…)
長谷川が倒れたと聞いて、気の毒に思った。Altairリーダーの卒業、愛希のスキャンダル、脱退と続いて、伊藤が長谷川を心配していたから分かる。スマートで何でも淡々とこなす人が倒れるほどの心労と過労。レイは伊藤も同じようにならないかと心配していた。
ブルーウェーブのマネージャーも兼任して、ほとんど家にいない。いたとしても死んだように眠り、2〜3時間で出て行ってしまう。
しばらくして、長谷川が復帰したと聞いて、ほっとした。しかし、伊藤の生活リズムは変わらなかった。
(何で?今はRINGだけのはず。こんな時間まで…)
深夜に帰ってくるのは変わらず、余裕もないままだった。
(触りたいな…でも、疲れてるだろうし)
甘えたくなるのに鞭を打って、我慢した。
「レイさん!お疲れ様です!…あの、聞きたいことがあるんです!」
収録終了後に、今大人気の女優、安藤ライラが声をかけてきた。可愛らしく透明感のある安藤に、にこりと答えると、驚きの発言だった。
「RINGのマネージャーさんって、彼女いますか?」
「え?」
「カッコイイですよね!お話してみたいんです!」
そばにいてくれませんか?と、上目遣いする顔は、悔しいくらい可愛かった。話すだけなら、と近付けたのを後悔した。
「伊藤さんっ!も〜!私が料理できないって思ってるんですか〜?」
「イメージがなくて…」
「あ〜意地悪ー!ドSだぁ〜!私ドS大好きなんですよー!」
「いやいや、Sじゃないですよ。普通です」
「Mの子が好きですか?」
「まぁ、どちらかと言えば」
「やだー!私Mなんですよー」
清純派とは思えない会話にうんざりして、その場を離れた。楽屋に戻ると、疲れもあってイライラして、そんな自分に落ち込んで、次の仕事のためにも、と無理矢理気持ちを押し込んだ。
ガチャ
「ふぅー。よく喋る人だな。レイ、置いてくなよ。話切るの大変だったんだから。」
「楽しんでたからいいかなって」
「楽しんでないよ。あのテンションはついていけない。若い子は怖いよ。何が面白いのか分からん」
ドカっと隣に腰掛けられ、隣に感じる体温に、先程のイライラや落ち込んだ気持ちが、すべてドキドキに変わる。
「響…」
「ん?…んっ…っ」
「ンっ、っ、は…。久しぶりにキスできた」
「お前な、ここ、楽屋。誰か入ってきたらどうすんの。」
呆れたようにため息を吐かれ、ズキッと胸が痛んだ。
(俺は、久しぶりのキスに嬉しかったけど、響はそうでもない?)
傷付いたレイを気にせず、次のスケジュールを確認する伊藤に、泣きそうになった。
(あれ、なんでこんな小さいことで)
目の前が潤んで、必死に乾かそうとする。
「何。何泣いてんの」
「泣いてない」
「はぁ〜…仕事中にはそういうのはダメだ。分かってるだろ?」
「ごめんなさい」
謝ると、うん、と頷いてまたスケジュールに目を落とした。寂しくて寂しくて、必死に感情を押し殺した。
それから安藤の猛アプローチを目の当たりにして、不安が募った。突き放すことなく、会話を合わせているのも、伊藤も気があるんじゃないかと思ってきた。仕事中に甘えられない分、家では、と思うも、レイも疲れて寝てしまい、伊藤は朝早いのを気遣って別々に寝ていた。
(響と話したいな…触りたいな…)
慣れてきそうな伊藤のいない朝。昨日着ていたジャケットがソファーにかかっていた。ハンガーに掛けようと持ち上げると、メモが落ちた。
『大好きな伊藤さんへ!
ライラの番号です!いつかご飯連れてってくださいね!』
いろんな感情が一気に湧き上がって苛立った。
ガチャ
「レイ、起きてたのか。あと2時間後に出るからな!…あった、企画書。」
「響…」
「じゃ、後でな!」
「響!!!」
「へ?どうした?」
怒鳴り声に驚いた伊藤はやっとこちらを見た。
「レイ?」
「何だよこれ!!」
「あぁ。もらった。」
「受け取るなよ!」
「できるわけないだろ。今後もあるのに。」
「連絡してんの?」
「しないわけにはいかないだろ…。なんだよ、そんなことか。じゃ…」
「そんなことじゃないだろ!!」
「あぁもう!俺急いでんの!青木待たせてるから!気にしなくていいから」
目の前で破ると、伊藤は大きくため息を吐いて、好きにしろ、と出て行った。
散らばった紙を見てバカみたいだと泣いた。
(もしかして、やっぱり女の子がよくなったのかな。だから俺に触らなくなった…?)
どんどんマイナス思考になっていく。最後に身体を重ねたのもいつか分からないまま、キスやハグさえも怖くなった。伊藤から触られるまでは、としばらく様子を見るも何も無くて、ついに爆発した。
少しのことでも伊藤にイライラして、大河にも八つ当たりしてしまった。全部うまくいかなくて、気持ちも不安定になっていった。どんなに伊藤に訴えても向き合ってもらえず、レイはストレス発散するために事務所のスタジオに篭り、長い間歌い続けた。
コンコン
「レイ、戸締りするよ。」
「あ!長谷川さん!体調は?」
「うん、大丈夫。今日は昼出勤だったから。」
優しく微笑まれると安心して、感情が溢れて号泣した。長谷川は何か察していたのか、優しく寄り添ってくれた。
「長い時間使ってたから…何かあったのかなって思ってたよ。響くん?」
コクンと頷くと、そっと抱きしめられ、久しぶりの人肌に安心した。
「響が…見てくれない」
「えー?そうかな?」
「俺のこと、今はウザいのかも。…キスもハグもしないし…セックスもしないし…嫌がるんだ、俺が触ろうとすると。呆れたようにため息を吐いて、疲れてるって。」
「…ごめんね、僕のカバーでみんな大変になっちゃったんだ」
伊藤を庇おうとする長谷川に首を振る。
「違うよ長谷川さん。もう響はRINGだけなのに、俺と一緒にいたくないから仕事してるんだよ」
「そうかな?」
「あと女優さんにアプローチされてるから…女の子がいいって思ってるのかも。だから…俺に…」
「レイ、泣かないで。そんなの簡単だよ?明日またここに来て?良い物あげる。」
「良い物?」
「セックスレス解消の良い物。まずはコミュニケーションとらなきゃね!」
レイはよろしくお願いします、と頭を下げて帰宅するも頭の中は疑問でいっぱいだった。
(良い物??)
伊藤はすでに寝ているのか、レイが帰ってきてないことにも気付いてなくて、また泣きそうになった。
ーー次の日。
「レイ、これあげる」
「??シロップですか?」
「超即効性のお薬」
「え?」
「夜を盛り上げるための軽いものだよ」
「だ、大丈夫ですか?こんな怪しいもの」
「大丈夫!リクでも昨日試したから!超即効性だから気をつけてね。」
「か、軽いんですよね?」
「そうそう。ちょっとムラムラするだけ。ちゃんとお家にいる時に、だよ」
小さな小瓶を預かってお礼を言って去った。
(響くんに恋人を泣かせた罰〜♪明日が楽しみだなっ!)
長谷川はレイを見送って、昨日のリクを思い出してはニヤニヤした。
(あ、分量言うの忘れた。かなり強いけど大丈夫かな?)
長谷川が振り返るともうレイはいなかった。
(ま、いっか!)
長谷川はたった2滴で立てなくなって、狂いそうになり、最後には失神したリクを思い出し一応レイにメッセージを送っておいた。
ーーーー
長谷川:2滴以内にしてね
「え!?」
レイがケータイを見たのは、5滴ほど入れたあとだった。
(軽いって言ってたから…大丈夫だよな。)
久しぶりにソファーで寛ぐ伊藤に緊張しながら媚薬を混ぜたビールを渡した。
「ありがとう。ふぁあ〜眠い…」
大きな欠伸をして、目は今にも閉じそうだ。
(今日も無い…かな。)
怪しい媚薬に期待もできず、のんびりとテレビを見ていると、隣で伊藤がビールを煽った。
「ビールうっまぁ!最高だな!」
嬉しそうに言う伊藤に、不安になった。
(軽すぎたのかな…)
じっと見ていると、首を傾げてくる。
(あ、何もない。たぶん長谷川さんがからかったんだな…)
そう思ってレイもアホらしくなり、酒を煽った。
ガチャン
急に伊藤の缶ビールが倒れ、残り少ないビールが溢れた。驚いて伊藤を見ると顔が近づいてきた。
「え?響…っ、ン!?んぅ、ふぅ、むぅ」
「はっはぁっ、レイ、何か、しただろ…っ」
「え?っあぁ、まって、話をっ」
「ふざけんなよ…っ、く、っ、くそ」
耐えるように歯を食いしばる伊藤は、顔を真っ赤にし、汗がポタポタと流れ落ちる。伊藤はレイを床に降ろして勢いよくレイの下着をとり、四つん這いにさせ、伊藤も焦ったように下を脱ぎ、熱を擦り付けた。
「え?!響!?」
「はっはっ、くぅーーッ!ぅあっ!」
背中にかかった熱に慌てて振り返ると、目を閉じてふるふると震えていた。
「響…」
「はっはっ、マジかよ…頭おかしくなりそ…っ」
ゆっくり開かれた目に息を飲んだ。
(響…の、必死な顔…)
目があった瞬間、飛びかかるようにキスしてきて、口内を侵される。キスしながら互いの熱を伊藤が掴み激しく扱き始めた。
「んっ!んぅーー!」
「ん!ん!ー!んっ!!」
また吐き出した響は、異常なほどガクガクと震え、歯を食いしばっている。下を見ると、今放ったにも拘らず、今にも暴発しそうに上を向いている。
(俺のせいで…ごめんな、響)
気持ちよくなって、久しぶりに幸せなセックスができると思っていたレイは、予想外なことに泣きそうになった。全部うまくいかなくて、辛そうな伊藤にも申し訳なくて、その熱を咥えた。
「バカっ、はなせっ、レイっ!…ッぁああ!っあ、はあっ!はぁっ!はぁあ!!」
「んくっ、んっ、んっ」
少し咥えただけで弱々しく髪を掴み、量の少ない欲を吐き出した。
「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ」
酸欠になりそうなほど呼吸をして、蹲った。
「響…」
「触るなっ…、なんのつもりだよ…」
「ごめんなさい」
「まさか…盛るとは…」
「だって、響とシたかったから…長谷川さんに、軽いものってきいて…ごめんなさい」
伊藤はこちらを見て、ゆっくり近づいてきた。その目は潤んでいて今にも涙が溢れ落ちそうだ。
「不安にさせたな…俺の方こそ、ごめん」
ゆっくり唇を重ねて、舌を絡める。目を閉じた時に伊藤の目から一粒溢れ落ちた。唇を離して見つめ合う。
「好きだよ、レイ。」
「響…」
「レイが欲しくて、おかしくなりそ…」
困ったように笑うのがたまらなくて、響を押し倒して胸に吸い付いた。聞いたことない、甘い吐息と混じる、気持ち良さそうな声。受け身みたいな伊藤に興奮が止まらない。
「んっ、はぁっ、レイっレイっ」
少しの刺激でも叫ぶように名前を呼んでくれる。胸の粒を愛撫しながら、熱に触れると首を振って嫌がるのも襲っているみたいでゾクゾクした。
「っぁ!やばっ…レイっ!レイっ!」
「はぁっ、響可愛いっ、可愛いっ」
「レイっ、入れたいっ、入れたいっ」
理性をなくした伊藤からのリクエストに、伊藤のびしょびしょになった熱を指に絡め、早急に自分のを慣らす。早く、早くと焦ったように求められて、レイは嬉しくなった。
「響、いくよ」
ググッと腰を進めると、伊藤が背をのけぞらせて、初めて見る顔をした。
「っぁあああーーッ!!」
(やっば!!エロっ!!)
中に感じる温かさに嬉しくなる。気持ち良さそうな大きな声を初めて聞いて、余韻でぼんやりするのも初めて見てゾクゾクする。
(気持ち良かったんだ…嬉しい)
落ち着いたのを待ってあげていると、目を閉じていた伊藤が目を開いて、レイは息を飲む。
(あれ、さっきと目が違う?)
抱かれているような雰囲気が一変して、腰を掴まれた瞬間、強い衝撃に目を見開いた。
「っぁあああーー!!ああっ!!」
「レイっ、レイっ」
「っああ!ダメ…っイっ…ーーッ!!」
「はぁ…可愛いっ、レイっ、レイっ」
「ぃやぁあああ!待って!待って!!!」
強すぎる快感に涙が流れる。
久しぶりの快感は全てが強すぎて抱えきれなかった。
(久しぶりは…ゆっくりしたかったな…)
本能だけの繋がりなような気がして、胸が痛んだ。すると腕を引き寄せられ、胸が触れ合った。
(響…心臓の音が早い…)
「レイが望んだんだろ…?こんなっ…衝動的な…セックス…っ、お前が…っ、泣きそうになるなよ…っ、っ、」
「響…」
「気持ち…っ、よくない?…ごめんな、俺だけ…」
苦しそうに笑う伊藤。辛いだろうに、話そうとしてくれる。
「久しぶりのレイに…抑えきかないのに…バカだな。…っ、こんなもん、いらないよ」
「でも…誘えなかった…疲れてるみたいだったから…」
「疲れては…っ、いるけどさ…この家が、っ…落ち着くんだよ…やっと休める場所だから…ごめんな…っ、体力なくて」
「ううん」
「レイが家で…っ、ハグしてくれたり、触ってくれたりしたら…たぶんすぐ…っ、触りたくなるよ」
そう言ったあと、ごめん限界だ、と呟いたと思ったら体勢を入れ替えて上から激しく腰を振られた。泣き叫んでも、意識を飛ばしても、何度も何度も奥を突かれてはたまらない快感に襲われる。
「っ!!」
「おはようっ、まだ、おさまんない」
目を開くと、余裕のない伊藤の顔が見えたあと、かけられた熱に目をぎゅっと閉じる。
「やばい…たまらないっ…レイっ、ごめんっ、レイっ、」
また足を開かされて、熱が入ってくる。入り口はひりひりしているが、もう伊藤の好きにさせようと意識を手放した。
ーーーー
(お腹痛い…っ、腰も痛い…っ、喉も痛い)
夜、冷や汗をかいて起きて伊藤を起こすも、死んだように寝ていて起きてくれなかった。這いつくばってトイレに行き、朝まで篭った。
ドンドン
激しくノックをされ、はぁい、と返事をした。
「レイ!大丈夫か!?」
「大丈夫でーす」
「ごめんな…本当ごめん」
「いや、俺がごめん。軽いって聞いてたけど、疲れる響に無理させた」
素直に謝ると、伊藤はトイレのドアにもたれたようだった。
「レイ…?俺さ、お前が思っている以上にお前のこと好きなんだよ?」
「うん」
「失いたくないから…仕事中はさ…頑張って我慢しよう?俺だってレイに触りたい。でも、バレたら本当に終わっちゃうんだよ」
「うん、ごめんなさい」
「あと、安藤さん。全くタイプじゃないから。ずっと一緒にいるのに自信持ってよ。」
「だって…女の子には勝てない」
「女の子が好きなんじゃない。レイが好きなの。レイがタイプだから、レイ以外は興味ない」
はっきりした言葉にドキドキする。
トイレの中じゃなかったら抱きしめて欲しかった。
「響、帰ってきたら、抱きしめてほしい」
「もちろん」
「安藤さんも、断ってほしい」
「当たり前だろ。タイミングを見てるだけだ。」
「響、大好き」
「俺も。レイが好き」
顔を見ないまま見送って、なんとかトイレから出て鏡を見るとぎょっとした。
(響…これ、やばくない??)
大量の痕にさすがに引いた。
顔面蒼白の自分が情けなくて、水を飲み、ベッドに横になった。
伊藤の匂いに包まれるとすぅ…っと意識が遠のいた。
「レイ、レイ」
「ん…仕事、何時だっけ?」
「今日はバラシになった。良かった…。熱が下がった。」
「熱…?」
「ごめんな…はぁ…もう後悔しかないよ」
薬と渡された錠剤を飲んだあと、うつ伏せにされて下着を取られた。
「響…?」
「あぁ…やっぱり、腫れてるな…。冷たくなるぞ」
「ンッ!!」
「こら、エロい声だすな、軟膏だから。」
そうは言われても、伊藤に触られていると思うとたまらなかった。
「響っ、響」
「だーめ。今日は寝よう」
そばにいるから、と抱きしめられて落ち着いた。下着を履き直して短パンも履いてベッドに寝かされる。
「レイ、安藤さん断ったよ、ちゃんと。」
「良かった…」
「あ、ちなみに、これ預かりもん。タレントのリナさんと、これはメイクさんの大野さん。」
「あ、手紙?」
「そう。」
渡してきたのを受け取ろうとした時、伊藤がビリビリに破いて唖然とする。
「レイ、俺もお前と同じ気持ちを毎回、こうして味わってる。お前だけが辛いんじゃない。むしろお前の方が多い。…お前に行く前にこうして処分するけどな」
「えぇ!?」
「中身は確認してる。リナさんはお疲れ様です、的なことだが、そこからレイと関わりたいだけだから却下。大野さんにいたっては完全にアウト。好きだの貴方しかいないだの…。」
細かく切ったものをゴミ箱に入れて、にこりと笑う。
「俺の方が毎日ヒヤヒヤだよ。お前は男女問わずだ。どれだけディフェンスしてると思ってんだ?…ま、レイが俺以外に行くわけないのは分かってるんだけどさ、レイを守るのが仕事だから。」
(そうだったんだ…)
ゴミ箱に入った、伊藤の愛の表現が嬉しくてにやけてしまう。
「なーに笑ってんの。俺がレイを好きなの分かっただろ?だからもうあの薬は捨てて。」
「分かった」
「あと、相談するならせめて大河にしてくれ。愁くんやリクはヘビーすぎる。あの2人の「軽い」は一般人の「最強」だから。」
「分かった、ごめんなさい」
2人で吹き出して笑った。
久しぶりに笑い合って、伊藤にキスされてドキドキした。近くにいるだけでも好きだなぁ、と気持ちが昂る。
(長谷川さん、お薬のおかげでまたドキドキが止まらないよ)
捨てたフリしてそっと薬を隠しておいた。
ーー
「全く。やっぱりな。捨てろって言ったのに…。」
伊藤はレイが薬を捨てないことをお見通しだった。長谷川に確認して、問題なければレイにも試そうと、見て見ぬ振りをして、ベッドサイドの引き出しを閉めた。
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