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第六話 日常 /3

 アパートに戻ると、路地に白いMR2が止まっていた。無視をしてアパートのドアへと向かうと、車から体格の良い男が降りてくる。 「匠、昨日の夜はどこに行ってた?」  そう聞かれる事はわかっていた。昨夜から、深夜を除いて一時間置きの着信履歴があった。 「睡眠が大事だって先生に言われているだろ。ちゃんと寝たのか? 酒を飲み過ぎたりしていないだろうな? 薬の効果が……」 「いいだろ別に。麻雀してただけ。兄貴には迷惑かけてない」  言いながらアパートへ入る。兄は共に上がり、キッチンへ行くと匠の薬の残量を確認する。 「入眠剤がだいぶ残っているぞ。しっかり眠れているのか?」  両親のように詰問する風ではなく、心から匠の健康を願った声音。  彼の望みをほんの少しも叶えていない現状は、酷い辛さを伴った。

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