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第八話 非日常 /1

 世間では年末休暇が始まる時期、匠はアパートの自分のベッドで『彼女』を抱いていた。  昨日、休日のはずの野木崎から連絡がなかった。普段部屋が片付かないとか銀行が混んでいたなどと言って遅れることがあったが、必ず連絡があった。なのに、今回は待ち合わせの時間を告げる電話すらなかった。  会うはずの相手に会わなかったことが落ち着かない夜。  スキンシップで誘われて、それなりに持ち合わせる性欲を解消するために彼女を抱いている。ただ、彼女に対する情は変わらず芽生えていない。  以前は情事の際、自律神経の失調が行為の邪魔をしていたが、最近はそれほどでもない。  二、三日に一度の『デート』、匠に彼女を喜ばせる意思がないため外出が減り、アパートで食事をして休むことが増えた。  野木崎と会う日も食事と休息が(つい)になる。(はか)らずも週の半分以上『普通』の生活を送るようになり、副産物で自律神経が整ってきている。  食事は彼女の手作りだ。匠が翌日も食べられるようにと気づかって多めに作っていく。

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