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お熱編 ~白 side~2
左手も取って手早く済ませると、今度は背中を拭き始める。身体を向けて貰うのはしんどいだろうと、俺は悠壱さんに対面する形のまま、背中に腕を回して彼の背中を拭き始める。俺がバランスを崩さないよう、腰を両手で支えられているけれど。
「気持ちいい?」
「ええ。多少なりともさっぱりしますね」
「こんだけ発汗してればな~。でもインフルエンザとかじゃなくて良かったな」
「全くです。仕事ができない上に、この家で寝込む破目になる。軟禁のようなものです」
「軟禁って……」
まあ、そうだけど。俺的には一緒に寝られなくなるから~だったんだけど。
「それに……お前を弄ることもできなくなりますからね」
「いや、弄らなくていいから」
それは望んでない。
「でも今……お前、楽しいだろ?」
「え? うひゃっ!?」
身体を拭いている最中だというのに、いきなり耳元で囁かれる。それまで腰を両手で支えられていたというのに、その手で服の裾を捲られ、そのまま手を挿しこまれて直に腰を擦られる。って、何してんの、この人!?
「ちょ、ちょっと……悠壱さ……」
「早く済ませなさい。このままだと風邪が悪化します」
「いや、それよりも手……ちょおっ!?」
「ただ拭かれているだけ、というのもつまらないので……ただの暇つぶしです」
ただの暇つぶしで人のズボンにいきなり手を突っ込んで尻を掴むか!? こういう時に楽だからってジャージを穿いてた俺も俺だけど、直に尻を掴むな! やわやわと揉むな! 舐めとんのか!
と、内心喚きながら、俺は頭まで風邪菌がいったんじゃないかと疑わしい旦那の身体の清拭をさっさと済ませようと手を動かす。動かすんだけど……この野郎! 尻の割れ目に指を這わせるな!
「も、ちょ……悠壱、さっ……」
「弄っているだけです。気にせず続けなさい」
その指の先端が、俺のアソコに入った瞬間。もう限界だった。
「続けられるか、阿呆ー!」
ほんとに熱あんのか、この人は! いや、さっき測ったけど! 間違いなくあったけど!
でもしんどそうなのも、実は演技じゃないのか!?
半ば投げやり気味で、俺は背中を拭き終える。悠壱さんの手を無理やり引き剥がし、身体を離すと、はーっと長い息を吐いた。よろよろとクローゼットの方に行き、悠壱さんの新しいシャツを取り出しながら、疲れた口調で奴に言った。
「おじや、持ってくるから。その間に新しいシャツに着替えて……ついでに下! 気持ち悪かったら自分で拭いて」
「お前が拭かなくていいんですか?」
「いい。もうなんか、アンタにそのままヤられそうな気がしてきたから……やろうと思ったけど」
ぶっきら棒に答え、ベッドへと戻り、悠壱さんのシャツを手渡す。しませんよ、さすがに。そう言っていたけれど、わかんねえ。この人は風邪で弱っていても、なんか……人をヤれそうな気がする。そして元気なはずの俺がヤられそうな気がする。
とはいっても、相手は病人。多少なりとも、優しくしといた方が……
「ケホケホッ」
「……っ……ゆ、悠壱さん。その……風邪が治ったら……しても、いい、から」
病人といえども相手はこの悠壱さん。こんなこと言ったら、絶対に後で泣く羽目になるのもわかっているけれど。わかっていたけれど……こう弱っている姿を見せられては、どうにも……非情にはなれない。
自分が甘いとつくづく思うよ。
「好きなように弄っていいから……だから早く治して、な」
そう言うと、またもや腕を引っ張られて今度は顔を近づけられる。そして……
「んっ、んん……!?」
キスをされる。そんなに深くはなかったけれど、舌を挿しこまれて一舐めされた。
「ん……ちょ、悠壱……」
「治ったら、な。今から愉しみです……」
そう言って、ニヤリと笑われる。うわ……やっぱり余計なこと言うんじゃなかった、と。若干後悔する。
その後、悠壱さんは半分だけおじやを食べ(というか、病人相手にこの量は多いのではないかと露草、華鈴姉さんから言われた)、就寝前の薬を飲んでから、俺を湯たんぽ代わりに抱いて一緒に眠った。いや、寝落ちたのは俺のが先だったけど。寝落ちるまで髪の毛をずーっと弄られてたけど。でも一緒に眠るのは久々だったな。
その二日後。すっかり回復した悠壱さんはまず子供たちに安心を与え、そして俺に対して「二日分の仕事が片付けたら、好きなように弄らせなさいね」という背筋が凍るような台詞を残して、ニヤリと笑って家を出ていった。
やっぱり……やっぱり余計なこと、言うんじゃなかった。
俺、どうされんのかな。
end??→
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