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プール編 ~白 side~4
プールサイドで足だけ水に突っ込ませて子供たちを見守っていた俺は、何となく予想はついていたけれど他人の視線をこれでもかってほど浴びていた。
真っ白な髪色が珍しいんだろう。それまでは黒のウィッグをつけて隠していたから目立つこともなかったけれど、俺の地毛は人目を引くらしい。またこの時は微妙に長く伸びていたから、肩につく後ろ髪をバレッタで留めていた。それが女に見えなくもなかったかもしれない。
いや、もっと言うなら。他人の前で無闇に肌を見せるなという煩い旦那の言いつけが身に染みてしまっていた俺が、堂々と海パン一丁でもいいはずなのに上にはちゃっかりとTシャツを着ていたのが紛らわしかったのかもしれない。
だからなのか。
「ねえねえ、キミもしかしてもしかしなくとも今、一人? 良かったら俺たちと遊ばな~い? イェー!!」
いかにもパリピの男の子たちにナンパされるっていうね。
「……マジか」
いや、いやいやいや。女に見えたから声を掛けられたってわけじゃないかもしれんぞ。うん。もしかしたらゲイの子達かもしれない。こんだけたくさんの人間がいる中で白髪の俺が目立ってちょっと面白いかもーって声を掛けちゃっただけかもしれない。うん。そう思っとこう、そうしよう!
と、心の中で女に間違えられたわけじゃないと必死で自身に言い聞かせた俺。しかしそんな俺の心の内を、このパリピが知るわけもなく……
「やべえぞ、やべえぞ。超可愛い~!! いえ~!!」
「ボーイッシュなカッコがまた似合うね~! ひゅ~!」
またこれがテンションたっかいな! ある意味羨ましいわ、この若さ!
やはり女と勘違いされていることはさておき、悪い子達ではないんだろうけれど、このテンションの高さについていくには少しばかり歳を取ってしまった俺は、どうやって機嫌を損ねず帰って頂けるかを考えた。頑張って考えた。
もういっそ俺も口笛吹いて、同じノリになって乗り切ればいい? それはハードルが高いぞ~、ものすごく!
あー、早く華鈴姉さん来てくんないかなぁ? あの人、こういう子達の扱いすげえ得意だからうまーくやって欲しいんだけど!
俺は心の中で姉さんを呼びまくっていた。
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