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プール編 ~白 side~7

 ーーーー… 「姉さん達がプールデートで仲直りしたのは良かったけれど、俺はあの時悲惨だったんだぞ。ほんとに感謝してくれよ」 『あら。デートじゃないわよ。子供たちも一緒だったんだから。それに結局、貴方が受けたのだってお仕置きエッチだったんだから羨ましいくらいよ。ウチの旦那はすぐにバテ……』 「やめたげて。克哉さんが不憫だからやめたげて」  もう華鈴姉さんと悠壱さんが結婚すれば良かったんじゃないか? 絶対、俺より相性いいだろ。  しかし機嫌のいい華鈴姉さんには、何を言っても無駄のようで。当時の克哉さんの行動を振り返っている。 『当時、菖蒲が連絡したとはいえ、すぐに駆けつけて来てくれたのは嬉しかったのよね~。まだ寝たりなかったでしょうに……ふふ。可哀想だったからホテルに戻ってからたんと寝かせてあげたわ。寝顔、可愛いんだもの』  俺はずっとベッドで沈んでたけどな。 『朝だって素敵なビュッフェに連れてってくれたし、うふふ。また行きたいわ~』  二人がイチャイチャしてる間、俺は子供たちを連れて腰を抑えながら朝飯食ってたけどな。 『そうだ。子供たちも大きくなったことだし、今度四人でお出掛けしない? ダブルデートなんてしたことないし、楽しそうだもの……あ!』 「なに?」 『これってもしかして……念願の4Pも出来るんじゃ……』 「するかー!!」  何を言ってんだ、この人は!! 念願!? 念願だったの!? 『やあね、冗談よ。冗談。そんなことしたら、私とそっちの旦那がもて余しちゃうじゃないの』 「性欲が強いって自覚はあんだな…………もう、切るぞ。わたがしたちを頼むな」 『は~い。菖蒲のこと、頼むわね。じゃあね~』  全く。折角のプールが変なのを思い出してちょっと入りづらくなったじゃないか。 「随分と大きな声で叫んでましたね。華鈴からですか?」  ちょうど俺が電話を終える頃、同じく仕事の電話を終えてきた悠壱さんがこちらへとやってきた。  泳ぐつもりがないのか、私服姿のままで来たんだけれど、アンタは日焼けしないだろうにどうして長袖なんだ。  悠壱さんはスーツの上着を脱いだ時とそう変わらない、全身黒っぽいファッションで俺の隣にあるプールサイドチェアに腰を下ろすと、持参してきた本を開いて読書を始めた。  電話をしながらもアイスキャンディーを二本、食い終えた俺は残った棒を屑入れに捨てると、悠壱さんからの質問に答えた。 「姉さんたちも楽しんでいるようで何よりって電話だった。相変わらず、あっちはラブラブだ」 「克哉は耐える男ですからね」  おいおい。それは克哉さんが普段から我慢してるってことかい。 「出会い方が出会い方ですし、あの二人が拗れることは無いでしょう……まあ、随分と昔にお前を勝手に連れ出したことは褒められたことではありませんが」 「アンタもアンタで根に持つなよ」  俺は悪くねえぞ。  どころか、もうちっと優しくしてくれてもいいんじゃない? 駄目なの? それ望んじゃ。Sだから? どがつくSだから?  ジッと悠壱さんを見ると、その視線に気付いた悠壱さんが顔を上げて「どうした?」と尋ねてきた。  でもその後に続いた言葉が…… 「キスでもしたいのか?」 「どうしてそうなるんだよ」  華鈴姉さんのが移ったのか、旦那が阿保なことを言ってきた。おかしいな。こんな人だったっけ?  まあでも……  昔と比べると随分と丸くなったもんだし、こうして子供たちのことを考えて家族サービスで豪華なところに連れてきてくれるし、何より……  俺が気兼ねなくプールを楽しめるようにって用意してくれたんだから、大分優しくなった方かな。 「ああ、礼をしたいというのであれば、後払いで構いませんよ」 「後払い?」 「子供たちと寝室は別れてますし、何より鍵を掛けられるので。お前が声だけ抑えれば問題ありません」 「やっぱり阿保だろ」  性欲だけは年相応になっとけよって突っ込みは、とりあえず心の中だけにしとくけどな。  END

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