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第二章・2
男のひとりが刃渡りの広いナイフを取り出し、藍の頬に当ててきた。
「おとなしくしてりゃあ、手荒な真似はしねえ」
刃の当てられていない逆側の頬を、べろりと大きく舐め上げられた。
分厚い舌がゆっくりと這い、顔にかかる湿った息は、きついアルコールの臭いがした。
「犯らせろよ」
この時点で、すでに手荒なのだが。
銃だけでなくこんなものまでしのばせているところを見ると、やはり堅気ではないらしい。
顔に傷をつけられたり、服を汚されたり破られたりしては面倒だ。
寮に戻った時に、夜勤の管理人に不審に思われる。
藍は、黙って服を脱ぎ始めた。
まさかここまで従順とは思っていなかったらしく、男たちは甲高い奇声をあげた。
「自分で脱ぐぜ、こいつ」
「これって合意? 合意の上、ってこと?」
馬鹿な事を言う、と内心蔑みながら藍は身にまとう全てを脱ぎ捨て、白い素肌をさらした。
ご丁寧に、LEDの小型ペンライトで照らす男がいる。
向けられた光がまぶしく、藍はその表情を失くした顔をそむけた。
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