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第三章・6

 長い廊下を歩く間、藍は気が気ではならなかった。  いつ、聡士が追いすがって来やしないだろうかと。  何があったと、問い詰められるのではないだろうかと。  こう言われたら、ああ言おう。ああ言われたら、こう言い返そうと様々なパターンを頭の中でシミュレーションしながら、ただひたすら歩いた。  月光が屋内まで差し込み、その明かりを浴びながら歩いた。  月の光を浴びていると、この身が清められるような気もしたし、また凌辱されながらも劣情に身を任せたことを責められているような気もした。  幸い聡士が後から追ってくることもなく、無事自室に到着した頃には身も心も疲弊しきっており、藍はよろよろと重いドアを開けた。

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