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第三章・12
立ち去りかけたが、ふと思いとどまって浴室の扉を開けた。
藍は、そこにいた。
薄暗がりの浴室の床に、手足を曲げて小さくなって倒れていた。
息を飲んで室内に入ると、タイルがぬるりと滑った。
何か、生臭い。
手探りで明りを灯すと、藍はおびただしい量のてらてらといやらしく光る粘液の中に突っ伏していた。
「……!」
言葉も出ない。
大量の精液にまみれた白い体には、無残な歯型やキスマークがいくらでも残っていた。
白濁の液の中には、鮮やかな赤も混じっていた。
血だ。
無理矢理何度も突き入れられ、後膣が裂けてしまっているのだ。
誰の説明もいらなかった。
凌辱されたのだ。
しかも大勢から。
そして、それを何事もなかったかのように独りで耐えて、明日を迎えようとしていたのだ。
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