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第三章・13

 聡士は黙って服を脱ぐと、脱衣所に放り投げた。  シャワーの栓を開け、温かな湯を降らせた。  そして、一緒に湯を浴びながら、藍の体を丹念に清め始めた。  顔に湯がかかり、藍は身じろいだ。  あったかい。  指先まで冷えていた体が、生気を取り戻し始める予感がした。  誰か傍にいる。  誰?   腕はしっかりと体を支えてくれている。  安心して身を任せられるこの腕の温かさ。  

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