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第三章・15

 反省、というにはあまりに暗くて重い後悔を、聡士はいやというほど味わっていた。  予定通り、俺が一緒に出掛けていればこんな事にはならなかったのに。  手に入りにくいものに、夢中になるのは容易だ。  手に入れたものを、ずっと大切にすることは難しい。  次々と現れる新しい恋人たちにすっかり呆けて、一番大事な人をないがしろにしていた。  毎日ちゃんと、愛してる、と伝えていたか?   キスを交わしていたか?   なじみすぎて、家族のような甘えが心を緩ませていたのだ。  何をしても、藍になら許してもらえるという驕りが、最悪の事態を引き起こした。

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