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第三章・16

 ベッドに横たわる藍の頬にかかる髪をそっと梳いた。  あれだけ惨たらしい凌辱を受けながら、その姿は変わらず美しい。  ふと瞼が動き、藍はうっすらと眼を開いた。  唇が動く。  声にはならないが、その動きから言葉は解かった。 『ごめんなさい』  そして、その魂は変わらず清らかなのだ。 「何で、おまえが謝るんだよ」  聡士は、藍の頬を手のひらで包んだ。  謝るのは、俺の方だろう。

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