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第三章・18
あれから幾年経っただろう。
現在に至る時の階段を昇る間に、俺は何度その笑顔を曇らせてしまったのだろう。
いつの間に、あんな素敵な宝物を見失ってしまっていたのだろう。
裏切っても裏切っても、それでもずっとこの銀の腕輪を大切に持ってくれていた藍。
「ごめん。ごめんな、藍」
声が震えていることが、自分でも解かった。
きっとこの声は意識に届いてはいない。
そして許されるはずもない。
藍が許しても、俺は自分を許せない。
それでも言わずにいられなかった。
言葉にすることで、この後悔を、懺悔を胸に深く深く刻み込んだ。
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