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第三章・19
深夜になって、藍は意識のないまま熱発した。
体温はひどく上がり、聡士は額の濡れタオルを何度も取り替えた。
汗で湿るパジャマを、何度も着替えさせた。
そしてまた同時に、ひどくうなされた。
陰惨な記憶が、心を苛んでいるのだ。
身も心も、必死で戦っている藍。
聡士は、ただその傍で体を冷やしたり、手を握ってあげたりすることしかできなかった。
だが、今自分ができるのはそれだけだ。
できる事を、ただしてあげることしかできなかった。
せめて、ずっと傍にいてあげる事しかできなかった。
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