44 / 49
第三章・21
「おめでとう。藍」
聡士が手を離すと、藍の手のひらには銀の腕輪が残されていた。
波と魚の模様が、小さく細かくたくさん彫り込まれた銀細工の腕輪。
「ありがとう」
手首にはめるとそれはずいぶん大きくて、腕を下ろすと落としてしまいそうだった。
早く大人になりたいな。
そうしたら、いつでもこの腕輪をはめていられるのに。
今は、まだ駄目。
落として失くしたら大変だから、宝物を入れておく箱の中に大切に大切にしまっておかなきゃ。
ともだちにシェアしよう!