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第三章・23
「おはよう」
ゆるりと瞼を開いた藍の耳に、優しい声が響いた。
覗き込む、聡士の顔。
あれ? 聡士、いつの間にこんなに大きくなっちゃったんだろう。
そうだ。腕輪は?
手首を掲げて目の前に持ってくると、そこには銀の腕輪がちゃんと輝いていた。
あれ? あんなにぶかぶかだったのに、いつの間にぴったりになっちゃったんだろう。
不思議そうに自分の腕を眺める藍の手を取って、聡士はその指にそっと口づけをした。
「丸一日、寝込んでたんだ。心配したぜ?」
そうだ。僕は浴室にいたはず。
その後の記憶が、ない。
体がひどくだるくて痛むが、今はあたたかなベッドの毛布にくるまって横になっている。
「ずっと、診ててくれたの?」
「あたりまえじゃないか」
「丸一日……」
は、と藍は慌てて聡士の手を強く握り返した。
「デートは!? 女の子との、約束は!?」
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