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15 秘事

「感じてんだろ? いいよ? 気にせずどうぞ……」 「……?」  指先でわざと乳首の周りを執拗に撫で回している靖幸が剛毅を見つめる。思いの外至近距離で見つめられ、どきりとして吐息が漏れた。 「ほら……早く俺の前で自分でシてみろよ?」  靖幸の言葉に剛毅はやっと意味を理解し、動揺した。今、ここで自慰をしろと言っているのか? と縋るような気持ちで靖幸を見つめおろおろと声を発した。 「え……いや、でも」 「やれ」  耳元で直接命令され、その刺すような冷たい言い方、強い口調に、まるで丸裸にされたような羞恥心が剛毅を襲った。固く立ち上がる自分のペニスの先端からじわっと先走りが滲むのがわかる。嫌なはずなのに、羞恥心と共に湧き上がってくる興奮にどうしても抗うことができない。剛毅は靖幸の威圧感に逆らうことができずに、言われるがまま恥じらいながら腰を浮かせてジャージをずらした。 「え……? それって剃ってんのか?」  剛毅は安田に剃毛されていたことを思い出し、恥ずかしさに顔を伏せる。 「毛、全然無いじゃん。なんかヤラシイな……」  まじまじとそこを見つめられ顔を上げられなかった。それでも反り立ったペニスは萎えることなく、ヒクッと揺れて更に上を向いた。 「……んぁっ!」  無毛なそこから興味がそれたのか、靖幸が唐突に剛毅の乳首に貼られた絆創膏を一気に剥がす。それだけのことなのに、剛毅は危うくイきそうになってしまい慌てて根元をグッと押さえた。 「凄いね赤くなって、乳首こんなに膨れてる」  靖幸が感心しながら剛毅の乳首を指で弄ぶ。乳首を弄られながら剛毅は息を荒げ、剥き出しになったペニスを緩々と扱いた。時折靖幸が剛毅をジッと見る。その視線を感じ、見られているというだけで快感が全身を駆け巡り、剛毅は何度もこみ上げてくるものを押さえつけた。 「ダメ……乳首、いい……あぁ……ん 」  靖幸が自分の乳首を弄り回している現実が信じられずに頭がボーッとしてくる。無意識に声を発してしまってることにも気付かす剛毅は夢中で快感を求め手淫を続ける。  先程のヒロさんと呼ばれた男がいつ戻ってくるかもわからない。早く達してしまわなければと思いながらも、この淫美な時を終わらせてしまうのも勿体なく熱が篭る自分の下腹部から気を逸らす。それでも視界に入る靖幸の姿にどうしても興奮を抑えられなかった。  剛毅はハァハァと息を荒げ、自分の体を撫で回す靖幸を見つめながら、ペニスを握る……クチクチといやらしく音を立てながら、扱く手に力が篭った。 「ヤバい……イくっ……出る……んんっ……あぁぁっ……出ちゃう、んっ……新堂君…… あっ…… 」 「………… 」  緩々と扱く手に力が入る。  もう力を抑えることもせずに、剛毅は夢中で自らの手で激しく扱き、射精を促した。  靖幸が手を止め自分を見ているのがわかった。股間に視線を感じる。見られているという羞恥心と、直接感じる快感の狭間が気持ちがよかった。無意識に剛毅は腰を振り、見せつけるようにして更に自分のペニスを激しく扱いた── 「……すみません」  靖幸は剛毅の目の前で不機嫌極まりない表情で床を拭いている。 「いや、俺がやれと言ったんだ」  剛毅はパタパタと床に精を吐き出し、それを見た靖幸はすぐさまティッシュでそれを拭った。 「まぁ、本当にやるとは思わなかったがな」  剛毅はいそいそと服を着て衣服を整え立ち上がる。欲を吐き出した後はもう恥ずかしさと、してしまったことの後悔ばかりが頭を支配した。 「あ……あの、薬塗ってくれてありがとうございました。えっと……この事は……その…… 」 「わかってるよ。体の怪我のこともお前がゲイだって事も、どすけべな淫乱だって事も言わないよ」  フッと笑みを浮かべそう言う靖幸を見つめ、複雑な思いで逃げるようにして剛毅はひとり帰宅した。

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