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20 変化
警備室に呼び出したのは確認をしたかったから……この時期にハイネックを着ているのとぎこちない動きで察したとおり、剛毅は体に傷をつけられていた。
中学の頃の剛毅を思い出したまではよかった。
あの頃は剛毅に全く興味がなかったのに、恥じらい身を縮こまらせる目の前の剛毅を見てどうしようもなく虐めたくなった。乳首に貼られた絆創膏がいやらしく感じる。決して深い傷ではないが、あちこちに紅く灯る情事の痕を抉ってみたらどんな顔をするのだろう……
靖幸は間違いなく今までに感じたことのない興奮を覚えていた。駄目だと言う理性に抗えず、気がついたら脅迫めいた口調で自慰をしろと命令をしていた。
あの時と同じ顔をするのだろうか……
それとも笑ってあの時とは違う表情を見せるのだろうか。
あの時のあいつらと同じように振る舞う自分の言動に驚きながらも、剛毅の反応を見て楽しんでいた。
自分を見つめて真っ赤な顔をして自慰をする剛毅。見られているのがそんなにいいのか、はち切れんばかりに反り立った剛毅のペニスの先端からはカウパーが滴り落ちる。自分の一挙一動にビクビクと体を震わせ果てそうになる剛毅の姿を見ているのは気分が良かった。
『新堂君……』
そう呟きながら剛毅は精液を床に吐き出す。
中学の頃の呼び方だった。無意識だろうか? 剛毅もあの頃のことを思い浮かべながら欲情していたのだろうか。体育館奥のあの倉庫に呼び出しをした、顔も名前ももう覚えてすらいないあのクラスメイトを思い浮かべたのか。
そう思ったら靖幸は堪らず怒りがこみ上げてきた。今ここでお前を気持ちよくさせてるのはこの俺だ、と……
自分に湧いて出たこの感情がよくわからないまま、とりあえず剛毅が汚した床を掃除する。その後申し訳なさそうな剛毅を見送り靖幸も家路についた。
それからは学園内で剛毅の姿を見る度にイライラが募る。それでも無意識に剛毅の姿を目で追うようになっていた。
数日後また剛毅のことを呼び出した靖幸は、少しわくわくしながら警備室で待った。思い返してみれば、子供の頃から毎日を生きていて何かを楽しみに思うなんてことも殆どなかったと思う。
なんだかわからないこのイライラを解消できる。そんな風に思って靖幸は剛毅を待っていた。
靖幸の思った通り、何かを期待した顔で剛毅は警備室に訪れた。その姿、表情は本当にわかりやすく、内心少し馬鹿にしながら靖幸は剛毅にコーヒーを淹れ、そして「服を脱げ」と命令をした──
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