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27 いつもと違う

 面白くない……  安田は血で滲む剛毅の唇を舐め、そのまま唇を重ねる。剛毅の顔を盗み見ると、嫌悪感丸出しでその表情を歪めていた。  乱暴に服を脱がせ、緩めたネクタイを外し手首を縛る。そのまま下着姿の剛毅を残し、バスルームへ一人向かった。  バスタブに湯を張る音がする。  ベッドの上で大人しく安田を待つ剛毅はこれからされるであろう行為を想像した。自分から誘ったのは、また体を傷つけ靖幸に気にかけてもらいたいが為……相変わらずバカなことをしてるのはわかっているけど、こんなことしか思い浮かばなかった剛毅は、これでいいのだと自分自身を納得させた。  安田と体を重ねた初めての時は、今までに経験したことのないプレイで驚き怖かったものの、二度目では安田の優しさにも気がつく余裕があった。酷いことをされてもやり過ぎることはなく、結局剛毅も気持ちよくしてくれる。気持ちがよければ乱暴にされるのは嫌じゃなかった。  大丈夫……  怖くない。  ズキズキと痛む唇を縛られた両手の甲で軽く拭い、バスルームから戻ってきた安田を見つめる。剛毅を見る安田の目つきが前回と違って見えて少し緊張した。 「剛君は……何で俺を呼び出した?」  安田は剛毅が自分を呼び出したのは、単に会いたくて、という理由ではない事は気づいていた。 何か理由があり、剛毅に自分が利用されているかもしれないという事が、どうにも面白くない。 「何でって……会いたかったから、じゃダメなんですか?」  縛られた手を前に出し、小首を傾げ安田を見つめる剛毅に溜息を吐く。正直、自分のタイプなだけにこういう無意識の仕草がどうしようもなく可愛く見えてしまった。 「ん……いいよそれで。可愛がってやる」  問い詰めたところで本当のことを言うとは思わなかった。だから安田はこの時間を楽しもうと決め、ベッドに座る剛毅の事をゆっくりと押し倒した。 「あ……ん、待って……何で?……んんっ、安田さん……あぁっ、やっ……あっ」  手は縛られたまま、安田に愛撫される剛毅は動揺を隠せなかった。安田のそれは恋人同士のそれと同じく、優しく愛しむような柔らかな愛撫だった。酷くされるものだと思って期待すらしていたのに、何を思ったのか安田は執拗に優しく、ねちっこく剛毅の事を攻め続ける。 「たまにはこういうのもいいだろ? 俺は酷くするだけが性癖じゃねえよ? 痛がらせて顔を歪めさせんのも、気持ちよすぎて緩みきった顔を晒させて泣かせるのもどっちも好きなんだよ」  舌舐めずりしながら安田は持ってきた鞄の中から黒く光るディルドを取り出す。不安そうな顔を見せる剛毅をよそに、押さえつけるようにして抱きつき、その足で剛毅の足を開かせた。  耳元や首筋に優しくキスをされ、腰を上げろと言われた剛毅はおずおずと言われた通りに腰を上げる。ローションを纏ったそれは剛毅のアナルに押し当てられた。 「それ……嫌だ、ねえ……んあっ、やっ……んん……」  一気に奥まで侵入させることはせず、わざとゆっくりと入り口を弄ぶ。安田のことだから一気に挿入しそうなのに、ジワジワと試しているようにそこを突く。それが逆に剛毅の恐怖心を煽った。 「大きいから……それ、やだ……安田さん……怖い…… 」 「うるせえよ。ほら、膝持て、そう……上手だ。どんどん入る。凄いな……もう飲み込んだ…… 」  短く息を吐きながら剛毅は苦しそうな顔をする。それでも勃ちあがったままのペニスの先端からは剛毅自身のカウパーが溢れ落ちいやらしく揺れていた。

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