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42 恋人じゃない
「何? そんな顔すんなよ……爆睡してる剛君ここまで運んで着替えさせるの意外に大変だったんだぞ。どうせすぐに脱がすのによ……」
剛毅に払われた手はまた頬に伸び、ひと撫でしてから顎を掴んだ。
「あ……あの……これ、足の……」
「……ああ、剛君こうしないと帰っちゃうだろ? 夜は長いし、楽しませろよ」
安田の顔から笑みが消え、剛毅の顎を掴んでいる手に力がこもる。無理矢理にキスをされ、剛毅はそのまま押し倒された。
「いつもみたいにお前は感じてればいいから。俺の言うことを聞けば酷くはしないよ」
剛毅にのしかかりそう言いながらも、安田の腕は剛毅の首の上にあり、体重がかかればかかる程剛毅の顔は苦しそうに歪んでいく。
「安田さん……苦……しい、や……やめて」
ふわっと目の前が白くぼやけそうになる寸前で安田の体が剛毅から離れる。剛毅はその隙に大きく息を吸った。
ゲホゲホとむせ込んでる剛毅を満足そうに安田は見つめ、涙を零す剛毅の頬にキスを落としてからぎゅっと抱きついた。
「俺のところにおいで……気持ちいい事いっぱいしてあげる。可愛がってあげるから……ずっとここにいな」
どういう意味だろう……? 朦朧とする頭でぼんやりと考える剛毅の服を脱がし始める安田。脱がしながら露わになっていく剛毅の肌に、優しくキスを落とした。
されるがまま、全裸にさせられた剛毅は安田のことをじっと見つめる。見られていることに気づいているのかはわからないが、安田は剛毅への愛撫を続けている。
初めこそ首を絞められたけど、これ以上は酷くする気はなさそうだと剛毅にはすぐにわかった。
出会った頃は安田のことは苦手だった。嫌いだった。でも何度か会ってるうちに嫌いではなくなっていた。
剛毅から安田を誘い、利用し始めた頃からおかしくなっていったのだと思う。安田は相手に苦痛を与え、その反応を見て喜ぶような人間だったはず……
それに恋人を作らず、自由にやってるイメージだったのに。
「……何でこんな事するんだ? 安田さんらしくないよね? 俺は恋人じゃないんだから、安田さんの好きなように酷くすりゃいいのに……」
遂にはフェラチオを始めた安田に向かって剛毅は聞いた。
「………… 」
安田は黙ったまま剛毅のペニスを咥え、行為を続ける。
「ねえ、俺は安田さんの恋人じゃないよ?」
念を押すように剛毅はそう伝えると、剛毅のペニスを咥えたままふと顔をあげた安田の表情にハッとした。
「……わかってるよ、うるさいな……黙っててくれるかな」
ゆっくりと足を割り開かれ、剛毅は安田の言う通りにそれからは言葉を発せず、ただ黙って愛撫を受けた。
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