唇が重なるとすかさず剛毅の舌が入ってくる。キスすらあまり慣れていない靖幸は、その剛毅の舌で口内を撫で回される度にゾクゾクと快感が走り、吐息が漏れた。 　ぎこちなく剛毅の首筋に吸い付き時折歯を立て、その首に噛み付くのか噛み付かないのか微妙な加減で甘噛みをしてくる靖幸の行動がよく分からず、剛毅はどう反応して良いのやら戸惑ってしまう。それでも靖幸が一生懸命に愛撫をしようとしているのがわかるから、それだけでも心地が良かった。 「……靖幸さん、ここも早く触ってください」 　手が一向に下へ降りてこない事にしびれを切らし、剛毅は自分の勃起したそこへ靖幸の手を導いた。 「ねえ、わざと焦らしてるんですか？　焦れったいのは嫌です……あなたの好きなようにしていいから。ちょっとくらいは乱暴にしたって壊れませんから」 　自分から強請るようなことを言うのはあまり慣れておらず、恥ずかしさがこみ上げる。ましてや今相手をしているのは一夜限りの軽い関係の相手ではなく、恋焦がれた人。だから剛毅も恥ずかしさと緊張でドキドキが止まらなかった。 　男との経験もない靖幸にリードしてもらえるなんて始めから期待などしていない。汗ばむ手で自ら足を開き、ローションを靖幸の側へ転がした。 　抱かせろ……なんて言ったものの、靖幸にはどうしたら剛毅が気持ちよくなってくれるのか分からなかった。直接肌が重なると頭に浮かぶのは安田の顔。何度となく見てきた剛毅の体に刻まれた痣や傷に、自分も同じことをしてやらないと剛毅は満足できないのかもしれない、なんて余計なことを考えてしまう。それと同時に靖幸の心に湧いてくるのは酷い嫉妬心だった。 　恐る恐る剛毅に触れる。他人のそこに触れるのは変な気分だ。思った以上に剛毅が勃起している事に驚きつつ緩々と扱いてみると、耳元に剛毅の熱い吐息が擽る。それだけで更に興奮が増した。 「……靖幸さん、腰揺れてる。待ってね……今解すから」 　いつの間にかお互いのものを一緒に握り擦り合わせていた手を離すと、剛毅は自分で尻に指を這わした。靖幸に解してもらえるかと少し期待はしたもののすぐに諦め、自らローション手に垂らす。靖幸は顔を紅潮させながら、少し体を離しそんな剛毅をじっと見つめた。 「あんま見られてると……恥ずかしいんだけど」 　クチュクチュと卑猥な音を立て、みるみるそこに飲み込まれて行く指先に靖幸は目が離せず視線が釘付けになる。そんな熱い視線に剛毅は興奮を隠せなかった。好きな人に見られてることがこんなに気持ちがいいとは思わず、わざと見せつけるようにして腰を浮かし更に指でアナルを弄った。 「その凄いやつ……俺に突っ込んでいいですよ」 　顔を紅潮させ、じっと見つめる靖幸が萎えていない事に安心する。荒い息遣いを感じ、靖幸も自分と同じく興奮しているのだとわかり胸が震えた。どんな顔をして俺を抱くのか、どんな表情で俺の中で果てるのか、想像するだけで剛毅は体の奥が熱くなるのがわかった。 　初めてだという靖幸がやり易いように、剛毅は後ろを向き四つん這いになって尻を突き出す。ふわりと尻を撫でられ「あっん……」なんて軽く声を漏らしてしまった。 　ぎこちない手でコンドームを自身に被せ、剛毅に促されそこにたっぷりとローションを纏う。イヤらしくテカる剛毅のアナルに先端をあてがい靖幸はドキドキしながらゆっくりとそこへペニスを沈めていった。