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第49話:教会の子供たち15

「きみは私が誰だか分かるね?」 (えっ……どう答えたらいいの?)  顔をまともに見て言い当てる勇気は、ユァンにはない。この距離で顔を見合わせれば、こちらが正体を言い当てられてしまいそうで……。  しかし顔を見ずに答えるのも不自然だと思った。 「……分かりません、ブラザー……」  震える声で言ってうつむくと、神父の両腕が体の前へ回ってきた。  太い指がシャツのボタンをひとつひとつ、なぞるようにして下りていく。 「きみは、女の子のように線が細いな。でもこの骨格は男の子だ」 「……っ!」  シャツのボタンを()でていた手が、ひとつボタンを外してその隙間から中へ忍び込んだ。指先が肌に直接触れてくる。 「あのっ……ブラザー?」  神父の不穏な行動に、ユァンの胸の中にある疑念が膨れあがった。その手から逃れようとすると、より深く腕の中に抱き込まれる。 「待て、いまきみの名前が出てきそうなんだ」 「本当に……?」  ユァンだと分かっていたら、こんなふうには触れてこないだろうに。ユァンの体つきを確かめるように、神父は体のあちこちへ手のひらを滑らせていった。 「当てられたら、私にご褒美をくれるかな?」 「でも、僕には何も……差し上げられるものが……」 「私を喜ばせるものを、きみはたくさん持っているよ」 (……えっ?)  ズボンの腰の後ろから、神父の手のひらが滑り込んできた。 「……ああ、こんなところに腕が入ってしまった。きみは本当に細いな。もう少し、頑張って食べるべきだね」  神父は笑いながら言って、尻の割れ目に指を()わす。 「い、いや……そんなとこっ、やめてください」 「ふふ、何を言っているんだ。きみは男の子だろう、こんなのはただのスキンシップだよ」  いやらしい手の動きに、ビクンと体が震えた。 (これがただのスキンシップ? いや違う!)  神父は後ろから覆い被さり、ユァンの尻を弄びながら乱れた息を吐いていた。  今さら身の危険を感じて逃げようとするが、腰に回った腕、ズボンのウエストを通過し尻をつかむ手のひらがユァンを逃がしてくれない。 「放して!」  その時神父の指が、下着越しにユァンの後孔に食い込んだ。  悪寒が全身を駆け抜ける。思わず倒れそうになったユァンは、目の前に伸びる庭木の枝をつかんだ。 「……ぁあっ、ダメ、嫌だっ!」 「やめなさい、そんな声を出すのは! まるで私がっ、何かしているみたいじゃないか」  神父は一瞬、あせったような声をあげる。だが獲物を逃がすつもりはないらしい。指でユァンの後ろを(もてあそ)びながら、さらに修道服の内側で固くなったものを布越しに押しつけてきた。  ユァンの腰が前へ逃げ、その拍子にポケットから大切なロザリオが落ちる。 (あ……――)  信じていた何かが崩れ落ちる音がした。

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