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第55話:教会の子供たち21
腕と脚がお互いの体に絡みつき、口の中では舌先が絡み合う。
宿舎に戻り、髪と体を洗い流したあと。ユァンは自分のベッドではなく、向かい側にあるバルトロメオのベッドに連行されていた。
着るものは全部剥 がされているのに、体が熱い。さっきから熱のこもった布団と熱い胸板の間に挟まれて、ユァンはなすすべもなく喘 いでいる。
全裸で抱き合うバルトロメオの肉体は、まるで肉食動物のように優美で雄々しくて……。
(こんなの無理だ、逆らえない!)
ここが修道院だという事実も、神さまとの約束も、砂粒のように指の間からこぼれ落ちていってしまった。
「はぁっ、は……」
息継ぎのために唇を離す。すると彼の舌先はユァンの頬を伝い、耳の中を犯しにいった。
ぴちゃぴちゃと腰に響く音が、頭の中を埋め尽くす。
「あんっ、だめ」
「ユァン、他には?」
耳の裏まで舐め尽くし、バルトロメオが聞いてきた。
「俺に触られてないとこ、まだあるだろ」
汗ばんだ頭皮に歯を立てられる。
「んっ、わかんない、もう……全部ぐちゃぐちゃで……」
数時間前、神父に探られた後孔には、すでにバルトロメオの長い人差し指が埋め込まれていた。もう全部、彼に支配されている。神さまも悲しみも介入しない、リアルな皮膚感覚だけがそこにあった。
「暑いよ、バルト……息が苦しい」
「水飲むか?」
ベッドサイドに置かれていたコップの水を、口移しで与えられる。
「そしたらもう一度確認しよう」
水を受け止めきれずに濡れたユァンの唇を指で拭い、バルトロメオの体が離れた。彼の熱に覆われていた体が夜の空気にさらされるが、肌寒さを感じる時間はなかった。
「えっ、わ、待って!」
足の親指を口に含まれ、シーツの上で体が跳ねる。
「ユァン、声」
もう深夜を過ぎているが、大きな声を出せば隣室の修道士たちが起きてしまう。
「だって、バルトが……っ」
「そんな泣き顔で睨 まれてもな。俺は必要に迫られてやってる」
足の指の間に、たっぷりと舌を這わせてから言われた。
「必要って何?」
「分かるだろ。アンタの体を隅々まで、俺のものにしておく必要性。頭の中まで全部舐め回せたらいいんだけどな、それは叶わないから」
かかとからひざの裏側まで舌を滑らせ、バルトロメオが白い歯を覗かせた。その野性的な微笑みに惹 きつけられる。
触れられなくても頭の中は、もうこの人でいっぱいだ。
そう思ってから、ユァンは後れて別の事実に気づく。
(頭の中までって……僕が嫌なことを考えなくて済むようにってこと?)
触れられていないはずの胸の内側が、じんじんと痺 れた。
「バルト、もう……そこはいいから……」
彼に持ち上げられていたかかとを下ろし、両手を差し出してみせる。
バルトロメオの厚みのある上半身が、ユァンの腕の中に下りてきてくれた。
(ああ、僕はこの人が好きだ……)
ユァンは汗ばんだ彼の首筋に、自分の顔を押しつける。
「だったらどこに触れてほしい?」
「このまま。これが好き」
「ユァン……」
浮いていた背中が、またベッドに沈み込む。シーツと彼の体に挟まれて、ユァンは熱い幸せに浸った。
「ずっと、このままでいられたらいいのに……」
気持ちが高ぶっているせいで、幸せなのに泣きたくなってしまう。
「悪い、俺はアンタほど清らかじゃなくて」
頭の上にキスをして、バルトロメオが笑った。
彼は体をずらし、腰で割り込むようにしてユァンのひざを開かせる。そして熱い昂 ぶりが、ユァンの脚の間にぶつかった。
「……っ、駄目だよこれは……」
欲望が欲望を刺激する。
「どうして? ここが修道院だからか?」
頭の芯に響く低い声。胸の鼓動が加速した。
「口の中の林檎を、呑み込まないなんてできないだろ」
想像して口の中に唾 が溜まる。
「バルトのこれが林檎なの?」
聞くとぷはっと笑われた。
「違う、禁断の果実はアンタの方だ」
「僕……」
「そうだよ、恐ろしく甘い香りがする」
ユァンのひざの裏側を押し上げて、バルトロメオが腰を進めてくる。
「あっ、バルト……っ……」
熱い先端をそこに押しつけられると、ユァンもそれを呑み込みたい欲望に襲われた。
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