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第56話:教会の子供たち22

(ああ、僕はひとつになりたい、この人と!)  その先には目もくらむような幸せが待っている。光あふれる楽園の扉が見え隠れした。  バルトロメオの右手がユァンの前髪を()く。 「こんなことしてたら持たないな……アンタが欲しくて、俺はおかしくなりそうだ」 「バルト……?」  ユァンの局部に触れていた、脈打つ熱が離れた。 「やだ、やだ、バルト……!」 「……?」 「中まで来て! 僕は……神さまよりバルトが欲しい!」 「……! ああユァン、ならするべきことはひとつだな」  まばたきする間に、下半身が的確な角度で合わさる。そして汗ばむふたつの体は、パズルのピースがはまるようにひとつになった。 「ああっ……!」  手足の指先まで、痺れるような快感が伝わっていく。 「……はあっ、ヤバいなアンタの体は。細いくせに、なんでこんなっ……ここは天国か」 「恥ずかしいこと、言わないでっ」  強く抱きしめられ息が詰まる。大きく押し開かれた下半身は、喜びに打ち震えていた。 「ああ、ああっ、いい、こんなの! 我慢できない」 「こうなったらもう我慢するなよ。今だけ神さまは目をつむってくれる」  そんな都合のいい話。そう思うけれど、腰を使い始めたバルトロメオに全部持っていかれた。 「あんっ、あああ、バルト、いいっ!」 「その声ヤバいな。聞いた神さまも興奮する」 「あっ、あっ、あっ、だって!」  ユァンのせいじゃない。揺さぶっているのはバルトロメオの方だ。 「もう仕方ない」  筋肉に覆われた腰が、ユァンの内股に密着する。 「ガンガンいいところに当ててやるから、面倒なことは全部忘れろ」  半開きの口の中に、バルトロメオの親指がはめ込まれた。  何十人もの修道士が寝泊まりする宿舎で、こんなことができるなんて思いも寄らなかったのに……。バルトロメオにこうされたら、あとは我を忘れて喘ぐことしかできなかった。  彼の猛りが押し入ってくるたびに、ユァンの意識は別の宇宙に飛ばされる。祈りと安らぎの修道院は、もう遙か彼方だ。 「ああっ……!」  めまぐるしい世界の転換から振り落とされそうになり、ユァンは恋人の首につかまった。 「……っ、ユァン?」  口の中に血の味が広がる。勢い余って彼の親指を噛んでしまった。それでもあまりによくて、ユァンは血の味のする親指をしゃぶり催促する。 「もっと……お願い! やめないで」 「分かった、何度でもイかせてやる」  神さまよりずっと恋人は優しかった。  きっと、自分は地獄に落とされる。  快楽のつぼを擦り上げられて泣きながら、ユァンは頭の隅でそのことを考えた。  禁断の果実は、やはり自分を組み敷いているこの人だ。天使でも悪魔でもない、聖書には出てこない神々しい獣……。  この人はもしかしたら、異教の神さまなのかもしれない――。

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