75 / 116

第75話:獅子と牝山羊18

 ユァンは思わず、あの時の激しいキスを思い出す。口の中に唾液が溜まった。  自分から彼の口内に舌をねじ込んだらどんな感じがするんだろう。想像して鳥肌が立つ。 (ああ……、僕はいけないことを考えている)  こんな場所でそんなことを始めたら、勢い余って彼を押し倒してしまいかねないと思った。それで顔を離そうとすると、バルトロメオが違う場所に接触してくる。 「ユァン」 「!」  ひざ立ちになっていたユァンの下腹部に、彼の大きな手が触れていた。 「なんでここ勃ててる」 「え……?」  言われて初めてそれが芯を持っていることに気づく。ゆったりしたローブのおかげで露骨な形は取っていないが、触れられれば隠しようがない。 「キスもできないくせに、ここは素直に反応するんだな」  バルトロメオはささやきながら、布越しにユァンの形を探り始めた。 「やだ、バルトの……えっち」 「エッチなのはどっちだ」  耳元でクスクスと笑われる。 「これ、俺に反応してるのか? そう考えたらすげーかわいい」 「あんっ、バルト……」  彼の手に優しくさすられるたび、熱と疼きが大きくなった。 「……これもうっ、どうしたらいいの」 「素直に出せばいい」 「そんなっ……」 「……ああ、ここのお行儀のいい修道士は、そういうことはしないのか」  からかうように言いながら、バルトロメオはユァンを刺激し続ける。逃げればいいのに体がその刺激を求めてしまって、ユァンはただ彼の首に抱きついていた。  けれど、次第に布越しのやわらかな刺激では足りなくなってしまう。 「ん、ふっ……バルトぉ……」  泣き声になるユァンに対し、バルトロメオの声は冷静だった。 「なんかさ、教義では性器に粘膜で触れる行為は性交に当たって、男同士だとソドミーに認定されるが、そうでなければお咎めはないらしい」 「……え?」 「つまりキスも、俺がアンタのここを手で撫で回すのも一応、教会法で罰せられる行為じゃないってことになる。眉をひそめられはするけどな」 「…………」  ユァンにも、バルトロメオの言わんとすることが分かってきた。 「ってことで、口と手とどっちがいい? 怒られるのと怒られないのと」  バルトロメオのもう片方の手が、ユァンのローブのすそを捲ってくる。 「や、でもっ、司教さまは怒ると思う!」 「あのおっさんだって手淫くらいしてるだろ」 「そんなわけ!」 「本当にないと思ってんのか?」  何枚かの布を突破して、彼の手が直接ユァンの熱い部分に触れてきた。

ともだちにシェアしよう!