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第80話:獅子と牝山羊23
獅子の前脚に寄り添ってみると、お日さまみたいにあたたかい。さっきまで群れのいる場所に帰りたかったのに、今はこの獅子のそばにいたいと思った。
そばにいてもいいですか? 恐る恐る額の角を擦りつけてみる。獅子はいいよというように、じっとそこを動かなかった。それからしばらく、たわむれるように獅子に体を擦りつけ……。
気がつくと僕は、雄の子山羊ではなくなっていた。手足が長く、お腹の丸い牝山羊だ。
どうして雌になってしまったんだろう。そう考えてみて、この獅子のそばにいるからだと気づいた。
僕は、あなたと結ばれたい。自分の欲望に戸惑う。なんだかとても恥ずかしい。
獅子は僕の様子が変わったことに気づき、不思議そうに周りを一周した。
小さな尻尾の生えたお尻に、鼻先を寄せられる。
多分、発情していることはもう気づかれている。
お願い、僕を嫌いにならないで。こうなったのはあなたのせいです。つまりあなたが好きなんです。恥ずかしさに耐えながら、僕はお尻を高くする。
しばらく獅子は、僕のお尻の匂いを嗅いでいた。彼の鼻先が内股をかすめるたび、体が震える。その頃には自分でも、お尻が濡れているのに気づいていた。
もう耐えられない、どうにかなってしまいそう。
鼻先でお尻を押され、そのまま前へ駆けだしてしまいたい衝動にかられた時。
僕の腰に、獅子が両方の前脚をかけた。
そのままぐっと押さえ込まれ――。
お尻に硬くあたたかなものを押しつけられる。それが欲しかったものだと、僕は直感した。
それをください。獅子の重さに耐え、後ろ足を踏ん張る。あなたの子種が欲しいんです。
獅子が僕の中に入ってこようとしているのが分かった。この人も僕を憎からず思ってくれているんだ。そう思うと、余計に気持ちが高ぶる。
好きです。あなたとならどうなったっていい。
そう叫んで鳴いた時、彼の雄々しいそれが僕の中へと踏み込んだ。大きくて熱い。僕は壊れそうだ。でも嬉しい。
獅子の体は硬い体毛で守られているのに、繋がった部分は生々しく脈打っていて。まるで生命力を注ぎ込まれているようだった。
獅子が腰を小刻みに揺する。その振動は僕の前脚までをも震わせた。
彼は一旦動きを止め、また律動を始める。僕の反応を探っているみたいだ。
気持ちいいです。なるべく甘い声で鳴いて伝える。
そのうち伝わってくる、腰の動きが速くなる。獅子の低く呻く声が耳に届いて、彼も感じてくれているんだと思うと嬉しくなった。
ああ、ああ、ああ。僕にたくさんあなたをください!
そしてその瞬間は突然訪れる。
中に埋め込まれている彼の一部が膨らんで、奥に擦りつけるようにして精を放った。その分下半身が重くなり、ユァンの後ろ足はガクガクと震える。
そのままへたり込みそうになって、四つん這いの腰をたくましい腕に支えられた。
「まだだ、ユァン」
(え――?)
振り向くと、額に汗を浮かべたバルトロメオの顔が目に入る。
お腹の中が熱かった。
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