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第81話:獅子と牝山羊24

 ユァンは辺りを見回し、自分が山羊小屋でバルトロメオと交わっていることに気づく。尻を持ち上げ、見せつけるような格好をしている自分に驚いた。こんな格好、したことないのに。  淫らな自分が恥ずかしい。 「バルト、でもこれっ……だめ……」  羞恥心と快感が津波のように押し寄せる。 「これじゃ自分が、山羊になったみたいだ……」  どうしてこんな場所で裸になったのか。確か木登りして落ちてしまった山羊がいて。大きな怪我はないけれど、大事を取って今夜は添い寝することにしたんだった。  そこまでは覚えていたけれど……。  とにかく今はこの格好が恥ずかしい。それでユァンは身をよじる。  バルトロメオが諦めきれないというように、ユァンを下から突き上げた。 「あああっ、だめ!」 「どうして? ユァンが言ったんだ。たくさん欲しいって」  すでに下腹部はじんじんとして重いのに、自分はまだねだったのか。ユァンは気が遠くなるのを感じる。それに応えようとする、バルトロメオの精力もすさまじい。 「んっ、んっ、でも僕……覚えてなくてっ……」 「え、覚えてない?」 「ううん、覚えてるけど……」  確かに牝山羊のユァンは貪欲に精を欲しがった。 「でもっ、あれは夢の中でのことで、ふああっ!」  挿入の角度が変わる。何をされるのかと思ったら、バルトロメオが腰を持ち上げ、ユァンの体を裏返した。繋がりが緩んだところから、生暖かい体液があふれ出る。 「ああっ」  後ろから突かれるのが恥ずかしかったのに、裸の体を蛙みたいに仰向けにされるのも恥ずかしかった。  体を繋げたまま、バルトロメオが真上から顔を覗き込んでくる。 「夢……?」  聞き返され、ユァンは山羊小屋の低い天井を仰いだ。 「……ううん。夢っていうより、妄想に浸っていたのかもしれない。こうだったらいいなっていう……」 「妄想ってどんな……」 「僕は修道士じゃなくて牝山羊で。バルトは黄金の獅子で……」  そうだ、あの獅子はバルトロメオだった。あんなに立派で優しげな獅子はこの人しかいない。  ユァンの話を聞きながら、バルトロメオが解けかけていた接合を深くした。 「……ぁあっ……」  雄の部分をしっかりと埋め込まれ、ユァンは恍惚としたため息をつく。しかし落ち着く暇もなく彼が腰を使いだした。 「ユァンがやけに積極的だったのはそのせいか」  バルトロメオの額から、パラパラと汗が落ちる。 「けどそれは、深層心理ではやっぱりもっと欲しいんだろう」 「そうかも……しれない、けど!」  一度我に返ったはずなのに、中から揺さぶられてまた頭がふわふわしてしまう。 「僕は牝山羊じゃないからっ、いっぱいもらっても子山羊を宿せない」 (あ……)  口に出してみると、それはひどく悲しいことのように思えた。 「ユァン」  バルトロメオが今度は上から、ぐっと腰を押し込んだ。 「……ふあっ」 「子山羊を産むのは、ユキたちに任せておけばいいだろう」  真剣な表情で見下ろされ、ユァンは彼の瞳に引き込まれる。 「アンタはしっかり、俺を感じていればいい。愛し合う意味は今ここにちゃんとある」  バルトロメオがまた動きだす。彼の動きが、ユァンの性感を引きずり出そうとしているのが分かった。 「んっ、う……あんっ」  気持ちいいところを深く擦り上げられ、高い声が出てしまう。中がとろけてぐちゃぐちゃと淫靡な水音が響き始めた。熟れた果実に熱心にナイフを突き立てているみたいだ。 「はぁ、あ……愛し合う、意味って何……?」 「受け入れ、受け入れられることなんじゃないのか? 恥ずかしい部分も含めて」 「……っ……」 (僕は今すごく恥ずかしいことをしてる、好きな人の目の前で……)  後ろを突かれ、ユァンは今、前から透明な蜜をあふれさせている。こんな姿、とても人には見せられないのに、バルトロメオの前ではこうされるのが当たり前みたいに思えた。

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