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第113話:罪と愛31
バルトロメオの片腕が首の後ろに回ってきて、キスが少し深くなる。深く、浅く、彼は熱心に舌を絡めてくる。絶妙なさじ加減で口の中を撫でられて、ユァンはもっともっととせがむようにキスをした。
差し込んだ舌をきつく吸われるのも心地いい。
「ぁあ、バルト……もっと……」
舌を絡めるのと同時に二人分の唾液を寄越されて、ユァンはうっとりとそれを飲み下す。
(ああ……!)
震えるような快感が頭の中を突き抜けた。弛緩してしまったユァンの体を、バルトロメオの腕が支える。
ユァンは彼の肩に額を預けた。
頭の中の快感が去ると、ますます疼いている自分の下半身に気づく。視線の先でバルトロメオのそれも、熟れた果実のように膨らみ色づいていた。
ユァンはふわふわした気持ちのまま、恋人の欲望に手を触れる。手のひらで包んで優しく撫でると、それはびくびくと震えた。
「……っ、ユァン……」
指を触れた先端から、とろりと蜜があふれ出る。
「久しぶりだから、あまり持たない……」
彼はかすれた声でそう言って、ユァンの後ろに触れてきた。触れられた途端にユァンもそこに欲しくなる。
「このまま入るか?」
バルトロメオがユァンの腰を持ち上げた。とろける先端を押し当てられ、ユァンは震えながらも腰を落とす。
「ああっ……!」
「……くっ! あせらなくていいと、言おうとしたのに……」
バルトロメオが両脚を投げ出し、苦しげに笑った。
「だってバルト、僕だってっ、待てない!」
無理に腰を落としても太い部分が入らなくて、ユァンは何度も腰を揺する。バルトロメオが体を支えて、その性急な動きをいなした。
けれども滑る水音が響くほどに、彼も抑えがたい欲望に突き動かされる。
「ユァン、はあっ……く!」
ユァンが腰を下ろすリズムで下から突き上げ、彼が中の深い部分にまで侵入した。
「あぁんっ!」
内壁を擦り上げられ、ユァンは甘い悲鳴をあげる。尻にバルトロメオの太腿がぶつかった。抱き合い、お互いに乱れた息を鎮める。
「……ちゃんと入った……」
そう言って息をつくユァンのへその辺りを、バルトロメオが親指の腹で撫でた。
「今、この中に俺がいる……」
「うん……」
「アンタの内側が、ヒクヒクしながら締めつけてくる。……ヤバいな、搾り取られそう」
耳元で聞く、からかうような甘い声にドキドキする。
「好きだから、欲しい」
「……っ、そんなこと言われたら本当に俺、朝まででもするから」
バルトロメオがまたリズムをつけて突き上げてきた。抱きしめながらそれをされると、逃げ場のない衝撃がユァンの中に甘い波紋を広げていく。
「あ、あっ……はあっ、バルトっ」
「いいなら声出せ、ここの壁は厚い。とはいえ、アンタの親愛なる神さまは見ているかもしれないが」
「んんっ、バルトそれ、いじわる!」
言い合いながら体をぶつけ合い、お互いに高まっていくのを感じる。
「ああんっ、なか、きもちいい!」
「ユァン、俺もいいっ」
汗ばむ背中を強く抱き、唇を合わせた。恋人の全部が欲しくて、乱れた息すらも呑み込んだ。
口と性器で繋がった二人の体の中で、快感がぐるぐると循環している。中のやわらかい部分を突き上げられるたび、その快感はユァンの中で幾重にも増幅した。
「ひっ、ひ、ふうんっ、ぁあんっ」
キスをしながらも泣くような声が出る。
バルトロメオの幹が体内でますます膨れあがる。限界に近づいているのがわかった。
次の瞬間、彼の背中が大きく震えて、ユァンの中に欲望のマグマを解き放つ。
「……ああっ!」
ユァンも前から白濁をあふれさせた。
「はぁっ……ユァン……」
「バルト……」
どちらからともなく額を合わせ、快感の波が過ぎ去るのを待つ。
(ああ、僕はいま確実に幸せだ……)
ユァンは胸の震えを噛みしめた。
初めて抱き合った時には、神さまの視線が怖かったのに……。
どうしてだろう、今はこうして愛し合える幸せを、同じ神に感謝したい気がした。
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