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一、運命的な失言⑦

驚いたリーが、自称魔王に駆け寄った。 「どうか、思い詰めないでください! 良ければ王都に一緒に行きませんか。王都は世界の楽園とも言える、天国のように美しい国の中心です。俺で良ければ、俺用に用意された屋敷に部屋を作りますから」 先ほどの俺の発言がウンコレベルで最低だと分かるぐらい、リーの発言は勇者らしい。 もし本当にこいつが魔王だったら、気付いていない時点で駄目駄目だけど。 「王都には俺が入れないように、七重の封印がしてある。俺は女体に全く闇棒が建国しないのだが、七重の封印は女体の清らかな処女らしい」 まじかよ。七人の絶世の美女処女が封印とか。 すげえ天国だ。一度でいいから行ってみたい。 「ああ、それなら、ここに遊び人で称号テクニシャンのグーがいるから封印解けると思いますよ!」 勇者の癖に封印解くアドバイスしてんじゃねえよ! 頭おかしいのか! さっさと足をM字開脚しろって! 「やはりテクニシャン、お前と一緒に居た方が楽しそうだ」 「その名前、ほんっとう嫌。グーって気軽に呼んでくれ」 でもどうしよう。 「あの、(自称)魔王様。もしリーがお気に召さないというと、どうなります?」 「お前にどう抱かれたか、その身体に聞くしかない」 キタ。エロBLの流れ、キタ。 まずい。日頃の行いが良いリーはこのまま逃げられそうだ。 「リーで駄目なら、どんな人がタイプなのでしょうか」 そうだ。リーじゃなくてもまだ村には男はいる。 ガチムチから、女みたいに綺麗な男、はたまたこれは俺の良心が痛むから18歳まで待ってほしいがショタとか。 「うーん」 死んだ目で上を見ながら首を傾げる。 不気味なのにイケメンだと格好良く見えるから、ずるい。 神様の意地悪。 「こう、幸せの絶頂の中にいる人で、今まで苦労もせずちやほや生きてきた勝ち組で、俺の息子を建国してくれるような顔立ちなら誰でもいい」 「ケンコク……」 だがおかしい。それならリーはどストライクのはずだ。 「あの、魔王様。寝取られはお好きですか?」 「寝取られ?」 「婚約者がいて幸せ絶頂の中のカップルを、めっちゃくちゃ壊せます。寝取るんです。身体で寝取るんです」 「……ふむ。悪くないな」 「そうでしょう。リーは、隣村に可愛い婚約者がいるのです。しかも王都に行くとなれば、きっと連れて行くでしょう。幸せな二人を、魔王様ならどうしますか」 「……触手で引き裂く」 わざわざ触手で引き裂くなんて、なんで気持ち悪い思考なんだろう。 「では、さっそくリーとどこかしけ込んでください。村の外れに、壊れて使われていない倉庫があります。そちら、俺の逢引き場所なので、避妊グッズから何からいっぱいあります。では」 「まて。――お前のその友を売るゲスなところも悪くない」 死亡フラグきた。 「ねー、俺、もう出発セレモニーに行かなきゃなんだけど、二人ともどうします?」 「今、お前を売りだしてるから黙っててくれ!」

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