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一、運命的な失言⑨
「俺は腹上死でしか死なない。テクニシャン、お前が世界で一番、俺を殺せる男だ」
「はあああ!?」
いやいや待てよ。じゃあ勇者の力って。
「俺の建国闇棒を葬り去れる力を持っている。まあ要するにEDでENDみたいな。欲望が98パーセントの俺は死ぬ」
「ひいい。俺だって脳まで性欲だよ。まじかよ。俺だっていつリーに殺されてもおかしくない状況だったのか」
益々王都に行くリーとは離れたい。
「残念だが、あいつに勝てるのは欲望の覇者、BL界のある意味勇者の俺だけだ。お前は俺と幼馴染み、どちらにつくか?」
死んだ目で尋ねられた俺は下を向く。
思いだされるのは、リーとの思い出。
駆けっこで勝てたことはない。それどころかビリの俺を最後まで熱く応援してくれる奴だった。
勉強も学校の宿題を映させてはくれなかったが解き方を教えてくれた。
ズボンのファスナーが開いてる時、いつも誰もいない場所で教えていてくれたっけ。
合コンで隣村まで行った時、一人だけフレゼンタ(合コンの時の一番可愛い子)をゲットしていた。
俺はニートなのに、お前は俺の親父の村長の秘書とかやってたな。
いつも気付いたら一緒に居た。そんな幼馴染だ。
「どちらにつくのか?」
「もちろん魔王様です」
即答だった。
ED魔法とか最悪じゃねえか。悪の根源はお前だ。
俺が99歳までのレディを抱けなくなったら大変だし。
「幼馴染みじゃないのか」
「幼馴染み以上の情はありません」
おれの息子の方が大切だから。
そうすると、死んだ目で自称魔王は笑った。
「ふ。良い子だな。ご褒美をやろう」
「……ここでエロ展開ですか!」
身の危険を感じた俺は、いつの間にか消えたリーを目で探しながら後ずさる。
「いや。ただのエンゲージリングだ」
そう言うと、右手の平を上にし、青い焔を出したかと思えばその炎が集まり、魔王の手の中にコトンと落ちた。
「右手を出せ」
「はい」
逆らえるオーラではないので俺は、負け戦はしない。最初から全力で降参している。
左手の薬指にはめられた青い指輪は、魔王の死んだ目と同じ色だった。
「これは俺のモノだという証しだ。一日一回キスしないと死ぬ。あと俺の居ない時に自分を慰めると爆発する」
わーお、なにを指にはめさせてんだよ!
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