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二、魔王を倒すにはまず仲間集め!④

「そうなのだが、一ミリも勇者に欲情しないんだよ。お前、さっき口説いてたろ? いけるの? あいつ陰毛絶対、サラサラストレートだぞ」 「魔王、おまえこそ大丈夫か? 自分のテクで染めてしまうのが面白いのだろうが。勇者にはまず俺の椅子としてしばらく生活してもらう予定だ」 「椅子……かあ。椅子は喘がないしなあ」 「お前ら、敵同士なのになんでエロトークで盛り上がってんだよ!」 馬車からつい顔を出し、突っ込んでしまった。いや、今のはエロトークか? すると死んだ目で魔王は俺を見た。 「……ああ、そうだった。あいつは、グー。世界最強、不死身で巨根で、宇宙一の攻である俺を唯一抱いた男だそうだ」 「何!? お前を、あの男が抱いたのか?」 ちがう! そう叫びたかったのに、指輪で操られている俺には叫ぶ権利は与えられなかった。 「記憶がないから、どう抱かれたのかレクチャーしてもらいたくアイツだけは俺の触手城へ連れて帰ろうとやってきた」 触手城! 意味分かんねえよ。連れて帰ろうとすんなよ。行ったらエロ同人展開しかねえよ。 「面白い。勇者と、魔王を抱いた男! そいつらが今、我が国にやってきたと! 実に面白い」 興奮しだした王子は、まわりにいたガチムチ兵士の胸倉を掴み、座らせるとその背中に乗った。 「昔、初代勇者は、魔王を封印することしかできなかった。それは魔王を虜にさせることもできず、また不快感いっぱいで魔王を触りたくもなかったからだ」 触りたくもなかった。 つまりやはり魔王は。 「ああ、俺の片思いだった。片思いだったけど性欲は全く沸かなかったからプラトニックラブだった。どうしても抱けないのだけど、どうしても監禁したい、みたいな」 「分かる! 分かるぞ」 え、魔王の思考がわかっちゃうの、王子。 俺は全く一ミリも理解できないけど。 「世界中の低級な輩が自分にひれ伏さないのは、腹立たしい。嫌いなのに好きって行ってしまうようなもの。向こうがひれ伏せば、ポイっと捨てるつもりだったのだろう」 「……そう言われてみれば、そうなのか」 首をひねった後、馬車に居る俺たちを見た。 「だからそこの男を欲しいと思っているのか。俺は恋だと思ってたのだが」 「コイデハナイ、トオモイマス」 「ポイと捨ててやるまで傍に居てくれないか?」 すげえ。 国民が見守る中、飽きるまで傍に居てと、最低なプロポーズをしやがった。 「因みに、俺はいつ死んでも構わないと思っているので、この世界をいつ破壊しても構わない。今だ勇者として未熟なソイツと、自分のドS欲を満たしたい王子。その二人で俺には勝てない」 「……つまり俺の身体を差し出せば、世界に手はつけないと」 エロ展開だ。 俺の玉のように白い肌、女性にしか触らせたことのないこと美しい身体が、とうとうエロ展開に。 「駄目だよ。俺から離れないで」 リーが俺の前に立ち塞がる。 「いや、でも俺が行かなきゃ」 「でもポイ捨てされた後、世界を壊すかもしれない。ただの時間稼ぎにグーの身体を差し出せないよ」 俺の身体が時間稼ぎ。まじか。 「じゃあ一緒に住もうではないか。この城に」

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