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三、まさか、最初の仲間が魔王だとは。⑥
「お前を殺せば、この世界から女体化ジャンルが消える。なんと素晴らしい」
「っく。君はいいの? 男なのに女になれるってすごいのよ!」
「マオウ ニハ サカラエマセン」
「消え去れ、200年の害虫よ」
魔王が空中で魔方陣を描き、それを爪でピンと弾くと、魔法がシャワーのように此方へ向かってくる。
「地雷だ、地雷だっていう、お前が地雷なんだよ! こうなったら、これだあああ」
レイニンちゃんは、俺から身を捩って片手だけ自由になると自分のスカートの中に手をいれた。
「覚悟しよ。魔女っ子レイニンちゃん、使用済み玩具の杖で魔力アップしちゃうんだから」
ひいいい誰が使用した奴ですかあ!
思わず手を離してしまった俺と、力いっぱい暴れたレイニンちゃん。
その瞬間、思いっきり飛んで地面に倒れた。
そして、レイニンちゃんが手に持っていた仕様済みの魔法の杖が俺の上へと堕ちてきたのだった。
頭に当たった瞬間、俺の身体が光り輝いたと思うと、まばゆい光と衝撃で頭が真っ白になり、そのままフェードアウトしていった。
***
『やめときなよ。死にたがりの魔王様だよ? 無駄だって』
ゆらゆらと揺れる頭の中に、レイニンちゃんが誰かに叫んでいるのがぼんやりと浮かぶ。
誰かを諭しているようだが、その相手は見えない。
『でも誰の血も流さずに村が守れるなら、これぐらい』
『貴方勇者でしょ! もっと自分を大事にしてっ』
『……レイニン』
『どうしたんだ? そんな大声出して』
『王子、聞いてよ! 勇者が、魔王の条件を呑むとか言うの。止めさせて』
『条件?』
ゆらゆらとおぼろげな光景の中、レイニンちゃんの声だけはっきり映し出された。
……レイニンちゃんに、先代の勇者? そしてユージンの先祖?
なんでそんなにレイニンちゃんは怒ってて、勇者は思い詰めてるんだ?
『どんな条件なんだ?』
もう一度王子が聞くと、勇者は重い口を開けた。
『俺の脱ぎたてのパンツだそうだ』
……。
魔王は200年前から魔王だった。
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