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三、まさか、最初の仲間が魔王だとは。⑰
「俺に謝るんじゃなくて、向こうで下半身を鎖国している魔王に言うべきでしょ?」
「リー……」
嫌そうな顔でじっと下を向いた後、スッと起ちあがって魔王の方へ行く。
折角魔王がグーに惚れて、グーと両想いだと思っていたのに。
それが全て演技だったなんて、悲しい。
本当に愛し合っていたなら、この世は魔王との戦いは永遠に無いはずだ。
そんな俺の気持ちがグーに伝わってくれてたら嬉しいと、グーの様子を見ていた。
すると、グーは魔王の目の前に来た瞬間、輝かんばかりの笑顔で魔王を攻撃していた。
「ほーれ、お前の嫌いなおっぱいだ。グー、おっぱいだ。それそれ」
「グー! 何を聞いてたらそうなるんだ!」
グーは自分のおっぱいを揉んだり揺らしたりして、魔王に刺激を与えている。
なんて酷い。グーの前で裸のガチムチたちがM字開脚してるような不快感だろうに。
「調子に……」
「ん?」
グーはおっぱいを揺らしながら魔王の口元へ耳を傾ける。
すると、弱っていたはずの魔王がグーの胸を乱暴に掴んだ。
「調子にのるな」
強く揉まれた胸がビックバンとなり、グーの断末魔が聞こえた。
聞こえた時には風船の様な胸も一緒にはじけ飛んで、シュルシュルと男の体に戻っていた。
***
Side:鎖国中の魔王
「……も、無理っ」
「大丈夫だ。愛があれば、ほれ」
200年、見ないように生きてきた女体を見せられ、心も身体も萎えた俺は、調子に乗ったグーという愚男を自分の城へ浚った。
萎えて鎖国してしまったアレを、後ろ手に縛って転がしたグーに開国させるまで奉仕させている。
さきほどから必死で舐めて、俺を睨んでくるグーの顔はなかなか絶景だがまだ許さない。
……愛されたことが無い、か。
勇者の力を受け継ぐあいつは言っていたが、それは違う。
愛されたいと何度も願った。
俺は愛する気持ちだけは持ってる。実らなかっただけだ。
初代勇者は、まるで彫刻のように美しく鍛え磨かれた筋肉で、あの肉体を屈辱に染め、足で踏み、悔しそうに見上げる勇者を屈服させたいと心から惹かれていた。
心も身体も、俺の支配下において愛でる。これこそ愛ではないだろうか。
「まじ、無理。こんなのまず、先端さえ口にはいらねー」
戦いの傷もなければ、貧弱で女みたいに色が白く、それでいて俺にいつまでも生意気で、おまけに全く俺に興味を持たない愚男に、俺が誰を愛するかなんて指図されたくない。
今はただ、このグーをいじめるのだけが暇つぶしだ。
「喉の奥まで咥えろ」
「ぶっふぁっぐぅぅっ」
「いい声だ。もっと鳴け」
「んんぐぅぅっ」
喉の奥にガツガツ当て、頭を掴む。
この支配した瞬間が溜まらない。
「イかせて、全て飲み込むまで許してやらんからな」
「んぐっつっ」
そこに愛は、ない。
……まだ。
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