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四、結婚式してみようかな。②
ヤンデレで流す気か。
「その、俺、グーから直接届いてないけど、招待状出席に○しちゃったし」
「なんで出席しちゃうんだよ!」
「魔王の方から人間に歩み寄ってるわけだし、いいかなって」
全くよくない。馬鹿かよ。まじでどうしてリーに勇者の力があるんだよ。
温厚で争えなくて、人を殺せそうにない間抜けだぞ。
「でも、す、スピーチの依頼はき、緊張しちゃうなあ」
魔王が勇者に結婚式のスピーチ頼んでるのか!
流石に昨日外れそうだった顎が、閉じれないぜ。
「その魔王は今、どこにいるんだ!」
「え、旦那さんのことをどうしてグーが知らないの?」
「旦那じゃねえよ!」
リーは半信半疑の目で俺を見ている。
俺が色仕掛けで魔王を倒そうとしていたとまた疑ってるみたいだ。
馬鹿じゃねえの。
「この結婚式でもしかして魔王を暗殺しようとしてるの?」
「お、流石勇者。そんな計画考えちゃうのか。実行しようぜ」
浮かれた魔王なら、結婚式で油断してやれるかもしれない。
「よし、そうと決まれば世界中の強者たちを俺のガードにするんだ!」
「えーっとお楽しみのところお邪魔するね」
開け放たれたドアをゴンゴン叩く、渋い親父に首を傾げる。
筋肉がもっりもり過ぎて、某森のくまさんみたいだ。
「誰だ?」
「貴方の可愛いレイニンちゃん。魔力切れで本当の姿に戻ってるの」
齢200歳のばけものに見えないほど、筋肉盛りっちょの渋親父だ。
「この見た目が、魔王の好みらしいから、魔力ない時に出くわされたら……私、ああん」
「で、用件はなんでしょうか?」
突っ込みをしらないリーは、何も気にせず質問する。レイニンは少し不機嫌そうだったが、ウインナーの様なぷっりプリの人差し指を天へ指す。
「魔王って言えばあれでしょ。魔王の部下、極悪四天王」
「ひいいい、ファンタジーみたい」
「結婚式に来るのよね。簡単にイカれたメンバーを紹介するけど、全員ホモよ」
俺は死んだ。
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