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四、結婚式してみようかな。③

「まずは深海の堕天使、男の人魚、マーマン!やつは人肉ではなく男の精なる液を喰らうホモ! 沈む船の中、男だけを捉え寝床に監禁するホモ! ガチムチは嫌いな美少年好きよ」 めっちゃ詳しい説明に、俺のガラスの心は砕けそうだった。 「次に、森のたたり神と恐れられる、蜘蛛男、名前はまだ未定! 森の奥で浚った男と番、色んな人外生物を生み出してるらしいわ。人外攻め好きの特殊性癖よ」 「……あー、いいよ。もういい。魔王の周りには魔王みたいなホモが集まるって理解できたから、もういい」 「あと二人、聞いておかなくて良い?」 ガチムチレイニンちゃんの言葉に、砕け切った俺の心は、聞くことすら拒絶していた。 「いい。そんな四天王が魔王を護衛するって聞いてまじ泣きそう」 「そうなのよね。当日はその四天王のガードもしなくちゃいけないし、女性禁止の結婚式らしいし、私も女体化禁止ですって!」 は? 結婚式のメインって可愛いドレスを着た女性じゃねえのか! 「因みに貴方には黒のボンテージと鞭を持ってほしいらしいんだけど」 「あほか」 「魔王は触手アーマーらしいわよ」 「コントかよ」 呆れて顎が外れそうになって俺は席を立つ。 「どこに行くんだ?」 「城の中を散歩」 良く良く考えたら全く自由に動いたことが無い。 この意味のない結婚式を回避するためにも、俺が城の中を歩き回り、魔王暗殺に向いているやつを探すしかない。 俺と魔王の中に、愛だとか恋だとか芽生えたことはない。 なのに、俺の大事な一生に一度の結婚が、同性で世界を破滅できる強者ってありえないだろう。 俺は、裏の皆を愛してるから、結婚で人に縛られたくないのに。 「なあなあ、庭園で眠ってたの魔王だよな?」 一人で歩いてた俺の目の前に、まだ見習いだろう兵士数人が歩いてくる。 「目を閉じてると美形ってユージン王子が言ってたのは本当だったな」 「確かに。あの眠っている体制でも、銅像作れそうなほど美しかった」 「あれで世界を滅ぼす力があるんだもんな」 それぞれ魔王への感想を言いながら俺と捨て違っても何も反応をしめさない。 ……俺が魔王を抱いた(と噂された)救世主だと、まだ皆知らないらしい。

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