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四、結婚式してみようかな。④

庭園の入り口に到着すると、入り口前にある噴水の縁に、眠っている魔王の姿があった。 「わ、あそこに眠ってるのは魔王さまでは?」 「ひざかけをお持ちした方がいいのか?」 「でも起こしたら、掘られるって噂だから放っておこう」 何人か、魔王だと気付いて慌てるものもいたが、やはり魔王に話しかける人はいない。 「あんな美形見たことねえよ、魔王って容姿も金もあるのにどうして悪の道に染まったんだろう」 「何でも持ってそうなのにねえ」 俺は、何人も通り過ぎるだけでひざかけさえもかけてもらえない魔王を少し距離を持って見つめていた。 こんなに綺麗なのに、魔王は誰からも逃げられて、誰も触れようとしない」 どこに居ても一人でいるような、寂しい人だと思う。 「あ、まおうさま、かぜひきそう」 「こら、ちかづくな」 給仕係の制服を着た、子どもが指をさし、父親らしき人物が制しても止める気配はなく近づいていく。 可愛い小さなその手。 その手から愛情を感じるのはいいかもしれない。 が、子どもが歩いてくるとたちまち眠っている魔王からただならぬオーラが感じられた。 「おい、ガチムチなイケメン以外近寄るな。ショタは好かん」 どんだけ本格的なんだよ。 「今の子どもは、魔王が風邪引くかもって心配してタオルケットを持って来てくれてたんですけど」 子どもの頭をポンポン叩くと、固まっていた子どもは父親の元へ走って行った。 「……あの子どもが数年後に、あんたの好みのガチムチイケメンになった時、どうするんだ」 「問題ない。俺は強引、無理矢理も得意だし好きだ」 人として最低だ、と思ったがこいつは魔族だった。 魔族ならまあセーフ、なのか? 「無理矢理、勇者にはしなかったくせに」 「お前、さっきから生意気だな。今此処で、他のやつらが居る前で襲ってやろうか」 むくりと起き上がった魔王は、どこか眠たそうだった。 「ここは邪気がないというか、空気がまずい。そのせいか油断すると眠くなる」 「ふーん。じゃあ一回自分の城にでも戻って寝ればいいのに」 その方が俺も、国の皆も安心できるのに。 そう思っていた内心を魔王は全く気付くことなく、自分の隣をポンポン叩く。 「来い、膝枕しろ」

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