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四、結婚式してみようかな。⑮

「嘘だよ」 「嘘!?」 俺が言うと、レイニンさんは男らしくガッハハッハと笑う。 「……殺せなかったんだ。あんなに取り乱した勇者を見て、私たちは誰一人殺せなかった」 重い沈黙と共にレイニンさんが地面を見て寂しげに微笑む。 封印の仕方って一体どんな風なことをしたのだろう。 俺は授業を真面目に受けなかったけど、リーならきっと勇者と魔王についての歴史は頭に入ってるんだろうな。 「本当にできるなら、おしえてあげるよ」 「まじっすか。えーっと」 悩んでいたら、俺の部屋の窓枠にガッと手が現れ、そのまま中へ入ってくる。 レイニンさんといい、その手の主と言い、ここ、五階なんすけど。 「おい、グイード。結婚式ができないかもしれないぞ」 現れたのは、美少年ハレムで毎晩遊び呆ける、この国一番のホモ、ユージン王子だ。 「結婚できないなら、したくないんで助かりますけど」 「馬鹿か! 椅子にするぞ。ほら、レイニン、今、ガチムチなんだから椅子になれ」 「死ね」 レイニンに首根っこ掴まれた、美しい王子様はベッドに投げ飛ばされる。 「私の可愛いジュニアを口の中にいれて、ガッツガツ喉の奥にあてるよ。若造が私を軽んじる発言は控えな」 「だって、お前なんかよりあいつは手ごわいんだぞ」 いつもの余裕のかけらもない、ドsの異名を返還してほしいぐらい動揺しているユージンはベッドの上であぐらをかくと髪を掻き項垂れる。 「この国は、『プリチー教』の信仰によって争いも起こらず平和だ」 ぷりちー教。 水浴びをしていた絶世の美少年が、大地の神に見初められ天界へ連れ去られてしまう。天界からこの地を加護する神となり、彼をちやほやすると作物が豊かになると言われる、頭の中までぷりちーな宗教だ。 「そこの最高階級で在られる、リーヤー司教が、同性同士の結婚を禁止すると言った。俺のハレムも神に対する冒涜だと、解体しろって」 まあ、あの爛れたハレムは解体しても王子以外困らないな。 「唯一、このくそドSな王子さえ手も足も出せない相手が、ぶりちー教だからね。仕方ない。結婚式は中止ね」 レイニンさんも状況を理解し、そう言う。 が、あのローが中止を納得するだろうか。 「プリチー教の司教は男ですか」 「ああ、ローが苦手だろう、女に間違えそうな綺麗な男だ。俺も一度、縛ってハレムに監禁しようとして司教だと知って未遂で終わっている」 何をこの王子はしてるんだ。いや、ソレが理由で同性婚禁止されてるんじゃねえの。 「その人以外に、何か権力がある人は?」 「リーヤー司教の母親が、同じ司教の位にいたね。今は息子に地位を譲って隠居しようとしてるけど、権力は向こうの方がまだあるでしょ」 流石、200年生きてきたバケモノだ。国の情勢はレイニンさんの方が詳しい様だ。 「で、その母親の歳は?」 「え、さあ、40過ぎてるとは思うけど」 「全然俺の範囲内だ。その女性を俺が口説き、同性婚を承諾させてみよう。今、中止したら魔王は何をするかわからない。この混乱の中で暗殺したいから、中止は避けたい」 「グイードくん」

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