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四、結婚式してみようかな。⑯
「俺は、初代勇者の身代わりに魔王の玩具になるのはごめんだ」
女の子に囲まれて、エロいことをして日々生きていきたい。
「じゃあ、もう一つの混乱もあなたには良い条件なんだ」
レイニンさんは周りを見渡すと、王子と俺にだけ聞こえるように小さな声で言う。
「魔王の部下である四天王が、暗殺を企ててるのよ。勇者の力を受け継ぐ、リカルドくんの」
「まじで?」
「まあね。200年の間に培った人脈によって、ね。確かな状況よ」
目が死んでる魔王が、安易な暇つぶしで思いついた結婚式だった。
それが中を開けてみると、魔王の暗殺、リーの暗殺、プリチー教の介入、と事件だらけだ。
ハレム解体は事件でも何でもないし。
「これは、流石の魔王も混乱するんじゃね?」
「まあ、魔王が居なくなれば、本当にこの世界の脅威は去るけれど……でも、いいの?」
レイニンさんの顔は晴れない。
「貴方が、世界と魔王の橋渡しをしてくれたら、魔王もみたされるんじゃないかな」
「魔王を満たすより、俺の性欲を満たす方が先ですから」
今の、この地位さえあれば、40歳人妻を襲えるわけだし。
「なんか……清々しいよね。魔王とお似合いね」
「あざーっす。じゃ、計画立てましょう。ユージン王子の動かせる兵隊と、信用できる少人数の精鋭部隊と、あとリー」
俺が仕切っていると、レイニンさんが頷く。
「じゃあ、リカルドくんに命を狙われてるって言った方がいいってことね?」
「まあ、そうだと思うよ」
「よし、リカルドを連れて来させよう」
二人も計画に乗ってくれて、俺もこの前の白馬に乗ったリーにトゥインクルしてから初めてリーにある
リーは、また颯爽と馬に乗って現れたらしく、何故かこの国の奴らは扉からまともに入る奴はおらず、リーも窓から入ってきた。
「すみません。レベル上げに、ダンジョンウロウロしてました」
「うっ」
現れたリーは、むせかえるような雄オーラで、モンスターと戦ったあとの汗を光らせている。
なんか……この前も思ったけど、動悸がトウィンクルだ。
「お、おま、おまえ、あれだ。あれだからな!」
「……うん? 何、グー」
俺に近づくが、そのむわんとした体臭になぜか顔が赤くなる。
「お、お前、命、狙われてる。俺、お前、守る」
「え、なんで片言なの? 俺が命狙われてる? えーっと」
リーは少し首を傾げてから、俺を頭の上からつま先まで見てくる。
ああん。視線だけで愛撫されてる。これって……もしや、欲求不満?
「俺がグーを守るなら分かるけど、グーが俺を守るのは痴漢ぐらいしか無理だよー」
「はあ!?」
人がトゥインクルトウィンクルしてるのに、お前、爽やかになんで毒を吐くんだ。
「俺、レベル100の限界を超える修行をしてるんだ。グーは、なんでか知らないけどレベル2になってるけど、必殺技は」
「『妊娠しそうな流し目』で、状態異常、虜ってやつだ」
「あはは。それは俺には取得できなさそうな必殺技だ。でも、暗殺者には無効化でしょ。大丈夫。俺は俺を守るから」
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