60 / 86
五、魔王暗殺計画⑤
恐る恐る舌で舐めると、苦くない。
それどころか、甘くて舐める度に自分の身体が熱を持ち、反応していなかった下半身さえもドクドクと熱を持つ。
「美味しいだろう?」
は? ちんこが美味しいわけねえ!
そう反発したいのに、うっとりするぐらい甘い匂い。
気付けば、ジュボジュボと音を立てて、自分から喉に当てていた。
喉に当たると、先走りが中で垂れる。
ソレが溜まらなくて、何度も何度も。
「グー?」
「お、美味しいです、もっと」
ジュッと吸い付き、飲み込む。
俺はうっとりと魔王を見つめた。
ほ、しい。
もっとほしい、ほ、しい。
喉からじゃ足りない。
身体の熱が、放たれない。
「ろー、俺、身体、あつい、ひどい」
「ん?」
「こ、こわい、このねつ、怖い――」
べたべたになった手で、ローの服を掴む。
快感がこわい。知らない快感が怖くて、俺は目の前の魔王に縋るしかなかった。
「と、めて、止めて――。怖いよ、ロー」
背中に手をまわして、襲ってくる熱から必死で逃げだしたくてローを抱き締めた。
初めて俺から、魔王に手を伸ばしたのは、悲しくも真実で。
ただ俺の意思じゃなくて、魔王の触手の放った媚薬のせいで。
ローは複雑そうな顔で、抱きしめ返したのまでは覚えている。
「どうしてだろうか。――エロくてお前は可愛いのに、今、酷く虚しい」
熱い唇に、噛まれるようにキスされた。
キスと言うには余りに荒々しかった。
けれど唇に集中していたら、ローから伸ばされた手が、爆発しそうだった俺の下半身を触り、中心を握った。
握っただけで爆し、勢いよく放たれた。
――のに、足りなくて、まだローの匂いに当てられ頭を持ち上げる。
それは、何度も何度も繰り返し。
そのたびにローは何かの儀式かのように優しく扱ってヌいてくれる。
「も、で、ないよ、ろー」
息を吐きながら、涙が零れる。
「も、どぴゅって、で、ない、でも、熱い――」
伸ばした俺の手を、ローが掴んで自分の頬に引き寄せる。
「休め。――熱が冷めるまで傍に居てやる」
なにを、ろーが、おれに、むりやり、ねつをうえつけたくせに。
しりたくなかった、甘い快楽。
抱き抱えられ、ベッドに連れて行かれた。
見上げたローの顔は、今にも泣きだしそうで。
死んだ目は淡い光で揺れていた。
ともだちにシェアしよう!