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五、魔王暗殺計画⑩

Side:世界最強のイケメン魔王、ロベルト:ヤマダ 200年目のあの日、俺は封印された。 どうしても勇者を殺すことは俺にはできなくて、勇者の身体を引き裂こうとして伸ばした手を俺は下ろす。 ポロポロと泣きながら俺を封印した勇者は、その時……ノーパンだった。 あんな綺麗な涙を流しながら、下半身は大胆な小悪魔ちゃんだった。 「……ああ、ツォーガネ! ツィーガネ! 聞いてくれないか」 グーの口の中を散々蹂躙し、支配し、ガツンガツンと犯した俺は、何故か突っ込んで最後までできなくて、魔界の城へ戻っていた。 「どうされました?」 「最後まで犯すことができなかった」 「……はあ」 「虫けらに、俺はなんで――」 「それは魔王様が虫けらをも愛す寛大な心に成長した証拠です」 「だが、お前だって言ってただろう。人間なんてすぐ死ぬんだから愛すなんて愚かだと」 「私めの場合は、永遠の餌として血を半分分けてあげることもできます。まあ血の味は落ちるし、飽きた場合は困るので致しません。ですが兄がそのようなことをして――」 ツィーガネは申し訳なさそうに瞳を伏せる。 「殺す殺されるの修羅場になって、兄のパートナーは勇者の一行に参加してしまいましたけどね。レイニンとかいう、魔女に」 ああ、なるほど。あのレイニンが人間の分際で200年生きている理由がようやく溶けた。 「でも魔王様は、きっと200年前のあの時、勇者を殺せなかった時から……痛みを患っておいででした。その痛みが、弱い者の気持ちに寄り添える気持ちに成長なさったのでしょう」 「そうなのか……。だから、俺の媚薬でとろとろになって必死で俺を求めるグーを、愛しくも、愚かで、そしてこれが本当に俺を求める姿だったらと思ってしまったのも」 「きっと魔王様の、人間に対する感情の芽生えでございます。お赤飯用意致しますね」

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