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五、魔王暗殺計画⑪
俺は赤飯を食べながら、グーへ手紙を書いた。
何を書いたらいいのか分からなかったが、ツォーガネが『一刻もはやく会いたい気持ちを書いたらいいのです』とアドバイスしてきた。
シンプルでかつ、スマートに伝わればいい。
余計な言葉はいらないのだ。
『魔王キトク スグカエレ』
これで完璧だと思ったが、何か足りない。
そうだ。俺の正直な気持ちも入れたい。
口だけしかまだ犯していない。中を蹂躙しないと。
『スケベしたい すぐカエレ』
俺はこの手紙を書いた後、淀んだ魔界の空を見ながらワインと赤飯(二杯目)を食べていた。
そこに舞い戻ったのは、ツォーガネ。
「お返事を頂いてきました」
嬉しそうに言われ、俺も悪くない気持ちでそれを受け取る。
季節の触手もない、シンプルな触手語だった。
『中身が行きます』
「……中身が行きます?」
「ご本人が、――魔界のこの触手城へ来られるそうです」
「グーのレベル的に大丈夫か?」
「はい。リカルドさまと一緒に向かいます故、おこぼれ経験値でレベル上げなさるつもりらしいです」
「……そうか。では、そこらへんに転がってる白骨死体から頭蓋骨だけ集めて、花を生けてテーブルに盛り付けして――」
「信長か、と突っ込みたいのですが、そのような恐ろしい飾り付けはダメです」
……ダメなのか。
最終ダンジョンである魔王の城なのだから、白骨死体の飾り付けや魔獣の生首展覧会とか喜んで悲鳴をあげてくれるはず。
「あくまでもグイード様は、結婚式の衣装合わせや食事のメニューを決めるための打ち合わせで来られるのです。分かってますね」
「分かった。それではベッドは最高級のふわふわのベッドにするか。二人の体重でベッドに沈んで魔界の空から隠れてしまおう」
「魔王様!」
「……勇者と3Pなのか? ベッドは三人で跳ねて飛んで突いて腰を振れるほど丈夫な方がいいのか」
「落ちついて下さい。衣装合わせです。ベッドにティッシュ箱さえ必要ありません」
「……そうか」
思えば、こいつに尻に火を付けられてグーの咥内を犯したが、それによって俺は真実の愛を知ってしまった。
こいつがそう言うのであれば、まあそうなのだろう。
「野生の魔獣のレベルを下げておくか。レベルの高い魔獣は俺が触手で弱らせておこう。あと、宝箱の中にエッチな服もいれておこう」
「魔王様」
「ああ、エッチな服はお前の性癖に任せるぞ」
「では、ボンテージで、ではなく、魔王様」
ツォーガネの性癖の片鱗を見れた瞬間だったが、やつは真剣な顔になる。
「あの二人が、魔界とあちらを繋ぐ門をくぐると言うことですよ」
「まあ、こちらへ来るならばそうだろうな」
「……あの二人は知りません。あの門を封印するために勇者が――」
200年前の惨劇の地。
俺と勇者が、互いの身体を切り裂こうとして出来ず。
勇者は俺をそこに封印するしか出来ず、俺も勇者の脱ぎたてのパンツを手に入れるしかできなかった、あの呪われし門の前を潜る――。
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