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五、魔王暗殺計画⑫
「昔の話だ。200年も昔の話だ」
「魔王様。グイード様には、今の話なんです。いいですか、結婚する相手が、いつまでも初恋の相手を思っていて結婚したいと思いますか」
「……人間の分際で、俺と結婚したく無いとは言わせない」
ふんっと鼻で笑ったら、ツォーガネが深いため息を吐く。
「では話を変えましょう。例えば、グイード様がリカルドさまを愛しているのに、貴方が怖くて結婚する、となったら貴方はどんな気持ちですか」
「グーが、勇者を?」
俺を選ばず、泣きながら俺を封印した愚かな勇者。
その勇者をグーが愛している?
だったら勇者を殺し、見せしめに死体をプレゼントしてやろう。
そうすれば、きっとグーは俺の力を知り、屈服する。
「その様子だと嫌でしょうね。その気持ちを、グイード様も持っている。複雑なんですよ」
「そうか。その場合、どうすれば人間は俺を信用するんだ?」
宝か、テクニックか、形か大きさか、強さか。持続性か?
どれも人間界の誰よりも持っているぞ。
「魔王様は、恋愛を知らなすぎますね」
「何?」
「欲しいのは、自分だけだという真っすぐで嘘偽りのない甘い言葉」
「甘い言葉?」
「そうです。想像してください。長旅で疲れたグイード様が、不安そうに貴方を見上げます。険しい旅の中、きっと魔王様の気持ちが分からず、その瞳は不安で揺れているでしょう。魔王さまは、そんなグイード様に駆け寄り、労わりの言葉をかけた後、甘い言葉で安心させてあげるのです」
労わり、甘い言葉……。
俺の顔を見て、走り寄ってくるグイードに。
『大義であった。面をあげて、傍に来い』
……少し硬いか?
『ご苦労だっぴ。早くその尻揉ませろ』
いや。
『もう少し遅かったら監禁して二度と離れないように調教してやったところだ』
優しく労わってやったぞ。
そして甘い言葉。
『フルーツケーキ』
びくんびくん、身体を震えさせるグー。
『チョコレート』
「あ、あん。だめ」
『プリン、ア、ラ、モード』
「ああん、魔王、抱いて!」
ふむ。甘い言葉を吐くだけで、グーが自分から足を開くと。
「妄想中すいません。恋愛初心者すぎて、ひきます」
「ん? 人の妄想を覗いたのか」
「ただ漏れです。酷いです」
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