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五、魔王暗殺計画⑬
「本当に好きだと思った人は手に入らないと、苦しいと学んだ。だから、恋愛など知らないでいい
「極論。流石、世界最強の男。思考も極論」
「分からなくて良いが、グーの事は分かりたい。世界が壊れても、誰が死のうが、誰が俺を好きで居ようが煩わしい。面倒くさい。死にたくなる。だが、――俺の媚薬で簡単に俺のモノを喰われて懸命に舐めるグイードは、世界一愚かで哀れで、それでいて愛おしかった。悲しかった」
ごちゃごちゃした、散らばった感情を吐露する。
この感情の中で残るもの。
それは、愛おしい。
俺が愛しいと思ってやってんだ。
過去の、死んで……姿形も残っていない勇者のことなど考える必要もないのだ。
「それが、世界一目が死んだ魔王様のお心なのですね」
「ああ。つまり今はもう世界やた魔界やら興味ない。あるのは、グーへの性欲だ」
「愛情、だ。の間違いです」
何故だがツォーガネは苦笑していたが、三杯目のお赤飯を持って来たので悪くない答えだったのだと自負した。
***
Side:グイード・アロンソ・デ・メネセス
ピロロンと、本日もう何回目か分からないレベルアップの音がする。
パーティー仲間であるリーが魔獣を倒すたびに、俺のレベルは上がって行く。
なんだか、リーの身体がどんどん雄臭くなってくる。
王都からここ、魔界へ通じる道、ショーッタオヤージという森を抜けると、広がっていたのは地平線の見える真っ直ぐな道。
向こう側も見えないが、木ひとつない平凡な道だと歩いていると、急に魔獣が現れたりする。
俺はリーの馬に乗せてもらい、腰に抱きつきながらレベルを上げていった。
ああ、やばい。リーの匂い、なんかムラムらする。
こーゆうのって、前に言ってたあれか。
転生前、俺はリーの婚約者だったからか。
「もうすぐ、歴史の教科書でしか知らない場所へ着くね、ドキドキして、やばいよ。俺」
「歴史の教科書でしか知らない場所?」
もちろん、授業もろくに聞いていない俺には分からない。
「……200年前、魔王が封印されたと言われている場所だよ」
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