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五、魔王暗殺計画⑲

「まじかよ」 「まじだよ、中身の人間が封印するなんて、永遠には無理なんだよ」 「そうじゃねえよ。お前、自分の命を犠牲にして封印したのか」 戸惑って、上ずった声で聞いてしまった。 が、リーは相変わらず苦笑したままだ。 「なんで200年前、俺が自分の命を投げ打ったのかは知らないよ。転生したわけじゃないから、記憶が全くないからね。でも、――なんでだろうか。教科書に載っていない封印方法を俺が知ってるってことは、、真実だってことだよ」 大きな、とてつもなく大きな門の前で呆然とした。 見上げれば、霧に隠れ天辺な見えない門がある。 この、魔界とこちらを隔てているはずの門。 その門の前で俺は立ちどまる。 こんな大きな門を、封印するためにはやはり少量の力では駄目なんだ。 よくもまあ、初代勇者はこんなもんを封印できたよな。 「さて、誤解ははやく解いたほうがいいよ。200年もここで眠る様なことにはなりたくないだろ」 「……そうだな」 でもやっぱ、俺はリーには敵わない。 魔王の為でも世界の為でも……女性を喜ばせるために生まれてきたこの肉体美を封印なんてできない。 できないよ……。 できにゃい。 「この門、開くのかな。空けれるかなあ」 リーが服の裾をまくりあげ、屈強な上腕二頭筋を晒した瞬間、恋に震えるおなごのようにときめいていた。 そんな俺をあざ笑うかのように、ぐぐぐと、魔界とつなぐ門が空いたのだった。 空をも引き裂くような、天に届きそうな門を開けたのは、魔王の人差し指だった。 すると慌ててツォーガネさんがやってきて、俺たちに背を向ける。 「魔王様! ダメですよ。魔王様は城でラスボス的に待っていなければ」 「あ、そう?」 「やり直しです」 やり直しだった。 ぽかんと口を開けている間に門は再び閉められ、ツォーガネさんが誤魔化した笑顔を向ける。 「どうぞ、テイク2です」

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