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五、魔王暗殺計画二十三

片目を包帯で巻き、手や肩、足に不自然に包帯が緩く巻かれ、漆黒の長髪に金色の月みたいな瞳。 ほかの人外とは違い、美少年だった。 「ツォーガネの言うとおりだ。……私の罪は許されない――」 「え、え?」 「こんな罪、許されない。ああ、魔王様に踏まれたい。魔王様に踏まれて罵られて、辱めて頂きたい」 両手で顔を覆いながら、首を左右に振ると泣き出してしまった。 「ずるい。俺だってあの人の椅子になりたい」 「わしも抱かれたい」 「足の指を舐めたい」 見た目が怖いお三人がたは、気持ち悪い発言を辞めろ。 怖いから突っ込めないだろう。 「あの、お兄さん大丈夫ですか?」 ツォーガネさんに聞くと、ツォーガネさんは冷静に頷いた。 「彼は、人間に力を分け与えてしまって、しかもその人間が自分の餌にならず逃げてしまったので、重い十字架を背負っておいでですので」 「へえ……」 「レイニン様と、恋中だったということです」 「……ああ。あー……ああね。レイニンちゃんの女体化時は心のオアシスだよね。うん」 「いえ。男性の時が恋人です」 こいつもか。 「ああ、神なんてもう信じない。私は、私はこの漆黒の炎に燃やされた身体を、ただただ魔王に捧げ、朽ち果てるのを望む」 「寿命はあと500年はありますけどね」 苦悩していても自分美しいと、言わんばかりのポージングを、ツォーガネさんがいちいち攻撃していくので可哀想な気もする。 「グー。任せて」 「へ?」 「四人は俺が引き受ける。グーは魔王の元へ向かうんだ」 リーは腕を回しながら四天王を見渡す。 四天王は、なぜか四人とも涎を垂らしながらリーの股間を見ている。 「魔王と同じくらい……」 「いや、もしかしたら魔王以上?」 「脱がせて、真珠入ってたら魔王以上よネ」 「ああん、素敵」 なぜかカマ口調で、品定めしている。 こいつら、絶対勇者と戦う気ない。 戦うと見せかけて、絶対あんなことやそんなことしたいだけだ。 「あのさ、リー」 「俺の事はいいから! 行くんだ、グー!」

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