155 / 201

第155話

郁side 怖い。 寒い。 震えが収まらない。 暗いくて狭い場所。 さらに目隠し。 ロッカーの外から赤井さんと春の声が聞こえて、必死に声を出そうとしたが恐怖に勝てなかった。 「…はっ…はっ…」 息が…。 外からの声などが遠のく。 その時、バンっとドアが開く。 スルッと目隠しが外され、急に前が明るくなり目がくらむ。 「大丈夫」 春のその一言がはっきりと聞こえホッとする。 それと同時に体に入った力が抜けていく。 何かまだ話しているが、僕の耳には入ってこない。 唯一、「休もう」という単語だけわかったので首を振った。 涙で視界が悪いなか、春を求めて胸に顔を押し付けた。 だんだんと落ち着いていき、春が「大丈夫」とずっと背中を察すってくれたことに感謝する。 「…も、、だい、じょーぶ。」 「ん、よかった…」 「もう少し、こうして、、たい」 「…あぁ」 だんだんと頭の中がクリアになっていく。 春が僕の身体を支えてくれてることに改めて気づき、どけようと動くが、春がぎゅっと抱きしめて離してくれなかった。 「…春?」 「あ、ごめん。何となく…。保健室いく?」 「ううん。帰りたい」 「ん、じゃあ、帰ろう。」 歩けるというのに、春は僕をおんぶした。 代わりに僕は春の忘れ物を持った。

ともだちにシェアしよう!