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第160話
郁side
「あー!」
本日ゲーム内で死ぬこと数回目…。
「弱いなーもー。」
「真羽に言われたくないよー!」
「二人ともお互い様だと思うが…」
「スグが強すぎなの!!」
「まぁまぁ。」
ふと、時計を見れば1時前。
お菓子を食べながらゲームをやっているからか、あまり空腹は感じられない。
「お昼ご飯、どうする?」
「もうこんなに時間経ってたんだー!」
「お腹すいてる?」
「いや、あんまり」
「僕も同じくー」
「僕も、かな」
「じゃあいっか。ただ、少し休憩しよ。もうそろそろ疲れるでしょ。」
「そうだな。」
「うん、そうしよー!」
各自でお菓子に手を伸ばし、お菓子タイム。
「いーく、怖い顔してるよ!」
真羽に言われてハッとする。
「考え込むことが悪いわけじゃないけど、何かあったら言ってね」
「…うん。」
楽しい時間なのに。
考えたことを言ってしまったら…
でも今なら言えそうなことを言っておきたいと思った。
みんなどんな反応するかな。
嫌うかな、僕のこと。
それとも悲しむ?
でも言わなきゃ。
「…あのね、今少し、、いいかな?」
バクバクと心臓が身体中に鳴り響く。
3人ともが僕を見つめる。
「いいよ、郁、どうかした?」
春が続きを促してくれる。
「……えっと…まず、、ごめんなさい。」
「郁、ゆっくりでいいよ?」
真羽の優しさに涙が出そうになる。
「…その……えっと、、思い...出したよ……いろんな、こと」
少しの時間差のあと、春が一番に気づいて僕をきつく抱きしめてきた。
それに続くように真羽と俊も上からぎゅっとしてくれた。
こらえていた涙がポロリと落ちた。
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