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第167話

春side あんなことがあってから半年。 最近はとくに顔色もよく、身体も精神も安定し穏やかだ。それに前のようによく笑顔を見る。 半年かかったのだ。ここにたどり着くまで。 まだ悪夢によって夜中に目が覚めることがある。 そのたびに遠慮気味に俺を起こす。 外出時は必ず誰かと共に行くこと。 いつでも郁の前を歩くこと。 触れる時は声をかけること。 あの書店へはあれから1度もいけてない。 風呂に入る時と寝る時は部屋に誰かいないと不安。 生理中、とくに情緒不安定。 あの日以来2ヶ月止まったがその後きちんと来て、1ヶ月飛んで2ヶ月連続で決まった周期で来ていた。 ストレスによる影響が大きいようだった。 細かいことまで上げていたらキリがない。 できることが増えた分、できなくなったことを今まで以上に罪悪感を持つようになった。 まだまだこれから先は長い。 ぼーっと考えていれば、隣の郁が俺の腕をつつく。 「はる?....はーる!」 「....あぁ、ごめん。どうした?」 「ここの問題なんだけど」 「んー、これは難しく考えず、普通に因数分解していったら解けるはず」 「えーと、、、あ。そうだね、うん。なんかごっちゃになってた」 「さっきの問題引きづったんだろうな」 郁を含め、ひと学年150人ほどの名から4人が補習に参加している。 ほかの3人は赤点をとり、追試を受けたが受からなかった人。 郁は出欠日数が少ないことに問題があるだけで、もともと郁の学力は低すぎるというほどではない。 体調がいい時とテストの時は保健室登校、たまに教室。 寮では俊と真羽と俺で勉強会。 そのため多少の学力低下はあったが赤点をとるほどではなく、平均点前後だった。 「よーし、今日はここまでー。明日までに今やってるプリントを提出するように」 先生の合図で本日の補習は終わり。 郁と寮に帰ろう。

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