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第12話

俺は田澤暁。 母親は暁が幼い時に他界し、父親と2人で暮らしてきた。 父親は仕事で何かあるたびに不機嫌で帰ってきて、暁に当たる。 だから常に服の下には痛々しいあざが幾つもあった。 いつしか父親は家に帰ってきてもお金だけ置いてすぐに出て行くようになった。 そして、数ヶ月後。 父親から再婚話をされた。 「お前は必要ない」 「お金は出すから1人で生きろ」 「お前の勝手にすればいい」 「お前が20になればお金はもうわたさない。」 その話をされた数日後。 ある事実を知った。 再婚した相手には子供がいて、その子供は俺が通う中学の隣の高校の一年だということ。 その高校は不良が多いと有名。 絶対にその高校には行かないと決めた。 なのに……… 「この学校の3年で、暁って名前のやついるかー?」 事実を知った次の日。 大きな声で校門のところに突っ立っていたのはその不良が多い高校の生徒だった。 暁の教室は、一階の校門に近い場所なのでよく聞こえた。教室中ではざわざわと暁を見ながら会話している。 この学年、いや、この学校に暁という名を持つのは自分しかいない。 暁自身も、何が何だかわからない。 また、授業担当の先生から「あの人と知り合いか」と聞かれる。 返事もできずただ、呆然と大声を出す人を見ることしかできなかった。 先生達が「警察を呼ぶぞ!」と言っている中で話を聞かずに校舎めがけて大声をだす。 「いねぇーのか!黙ったままもいいが、全部バラすぞ!それでもいいのか!!克典(かつのり)のこと!」 暁はその名前を聞いた瞬間焦った。 克典は暁の父親だ。 そして、あの生徒が再婚した相手の子供だと初めて知る。 急いで教室を飛び出そうとするものの、先生に止められ、「行かなきゃいけないんです!」そう言って振り払った。 上履きのまま、外へ駆け出して校門へ行くと、先ほどまで叫んでいた生徒は、ニヤっとこちらを見て笑った。 校門にいる先生達は、俺を見て「授業に戻りなさい!」と怒鳴る。 けれど、暁は無視してその生徒の元まで行く。 そして、目の前まで近寄ると「田澤暁です。」そう言った。 するとさらにニヤっと笑い「奏芽、…田澤奏芽」 先生達は名前を聞いた途端に顔を交互に見た。 「田澤くん、君のご兄弟かい?」と担任が聞いてくる。 暁は何も言わず無言のまま。 その代わりに、「まぁそうなるか。」とつぶやく奏芽。 暁は先生達に振り返り頭をさげる。 「先生方、すいません!以後このようなことがないようにします!少し話をしたら彼は帰るので、少しだけ時間をください!すぐに授業にも戻ります!お願いします!これ以上迷惑をかけるようなことはしません、なのでお願いします」 「そう言われても困るよ」 担任が嫌そうな顔をして言った 「お願いします」 すると教頭が「まぁまぁ……これ以上ほかの生徒にも学校にも危害のないように」と言いつづけて「話が終わってからすぐに職員室に来なさい。」といった、 「はい。」 そして、教頭が先生達に校舎へ戻るよう促し、2人だけにしてくれた。 暁はまた奏芽に向き直る。 「あの…何の御用ですか?」 「かわいい弟の顔を見に来るぐらいいいだろ?」 「見に来る必要なんてないと思います」 「まぁそうだよなぁ?父親に捨てられて可哀想になぁ?」 嫌味のようにニヤリと笑いこちらをみた。 「…」 「可哀想だから俺が可愛がってやるよ。」 「嫌です。」 「お前に拒否権はない。でなけりゃ、ここで叫んでやろうか?お前は捨てられたやつだって。」 「っ……わかりました。」 「よし。お前進路どうすんだ?」 「……山上高校」 「それやめて、俺のとこに来い。わかったな?」 「…はい。」 「連絡先渡すから俺からかかったら必ずすぐ出ろ。でなきゃわかってるよな?」 「はい。」 それから暁の奴隷と等しい扱いを受けることが始まった………

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